2016/8/9 18:15

プロレス生観戦、ちょっとだけいい話 【棚橋弘至vs鈴木みのる 編】

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プロレス生観戦、ちょっとだけいい話 【棚橋弘至vs鈴木みのる 編】
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若い頃は、あまり何もしていなかった。暇さえあれば、それこそ毎週のように、プロレスを観に行っていた。勿論、時間はあるが金はなかったので、当日券の立ち見など、安い席ばかりで。
ここ数年はそれなりに忙しく、さすがに毎週というのは厳しいが、それでも月に一回は観戦に行くようにしている。実際に生で観戦することでしか味わえないものが、そこにはあるからだ。

印象深い生観戦エピソードのひとつとして、今回挙げるのは、2012年の10.8(ジュッテンハチと読みましょう)、新日本プロレス両国国技館大会である。

メインイベントは、棚橋弘至(チャンピオン) vs 鈴木みのる(挑戦者)、IWGPヘビー級選手権試合。

観戦仲間であるKも私も、棚橋のチャラい見かけの裏に隠されたクラシカルなレスリングが好きで、鈴木みのるというこれまたレスリング巧者が、棚橋のレスリングの引き出しを色々と開けてくれるのではないかと、この一戦を楽しみにしていた。
そして、試合は、我々の期待に十分に応えてくれる、素晴らしいものになった。

トップロープ越しの腕ひしぎ逆十字、チキンウィングアームロック、腕へのミドルキック、鉄柵、鉄柱、鈴木が棚橋の腕を攻めれば、ドラゴンスクリュー、足4の字固め、膝裏へのタックル、膝へのハイフライフロー、棚橋は鈴木の膝を攻める。
これぞプロレスといったテクニックのぶつかり合いは、まさに我々の見たかった棚橋弘至 vs 鈴木みのる、そのものだった。正直、勝敗はどうでもよかった。いつまでも見ていたい極上の攻防だった。

それとは別に、私とKは、後ろの席から聞こえてくる、ある声が気になり出していた。

それは、小さな男の子が棚橋を応援する必死の声援だった。
棚橋が攻められれば、泣きそうな声で「たなはしー!」
棚橋が攻めれば、力強い声で「たなはしー!」
その声はとてもか弱く、だが、とても美しかった。

私とKは、試合中、その声援について特に話題にはしなかったが、お互い情にもろいタイプであるから、何も言わずとも、気持ちが一緒であることは明らかだった。

「たなはしー!」

男の子の純真以外の何物でもない声援は、プロレスに対してちょっと渋い見方しかできなくなっていた我々に、あの頃の気持ちを思い出させてくれた。

蹴り足をキャッチした棚橋が、ドラゴンスクリュー。スリングブレイド。そして、トップロープに登る。

「たなはしー!」

ハイフライフロー。しかし、鈴木が膝で迎撃。

「たなはしー!」

鈴木の張り手の連打、棚橋、大の字でダウン。

「たなはしー!」

起死回生の、ロープ越しのドラゴンスクリュー。

「たなはしー!」

ハイフライアタック、ヒット。もう一度、コーナーポストに跳ね上がる。

「たなはしー!」

ハイフライフロー、直撃。ワン、ツー、スリー!

「たなはしー!」
「たなはしー!」
「たなはしー!」

生観戦って、素晴らしい。

この記事を書いたライター: 富家イチロウ

コメント

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  • 似たようなエピソードで数年前に某小学校で行われた納涼祭でインディーから全日勢やみのる&高山と何気に豪華なプロレスの試合がありそれを観てた隣の小学生のグループが「スゲー!」と夢中になり携帯で「今学校でプロレスやってるけど超スゲーから来いよ!」と友達を誘ってるのを見て何か嬉しく思ったことがありました。


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    (2016/8/9 19:05)
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