2016/5/7 15:53

グレート小鹿74歳の挑戦、大日本プロレス躍進の道理

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グレート小鹿74歳の挑戦、大日本プロレス躍進の道理
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先日、ボブ・ディランのライブを見に行った。相変わらずの伸びやかな声、若々しく自由奔放な佇まい、どれを取っても74歳の老人のそれではなかった。その上、1ヶ月で16もの公演を行うなんて、元気、タフ、どんな言葉を以ってしても形容しきれない。何かの申し子とは、こういう人のことを言うのだなと、感心し、感動した。
プロゴルファーの青木功は73歳にしてツアー出場し、シルヴェスター・スタローンは69歳にしてまだランボーをやっている。どのジャンルにも、高齢をものともせず活躍している超人がいる。そんな超人たちの活躍は、30代も半ばに突入した私に、老いることは決して嘆くことではないと、底知れない勇気を与えてくれる。

プロレスは、比較的そのような超人が多いジャンルだと思う。例えば、昨年行われた天龍源一郎引退興行、そこに出ていた高齢レスラー(年齢は興行当時)をざっと挙げてみると、天龍源一郎(65歳)、グレート小鹿(73歳)、グレート・カブキ(67歳)、越中詩郎(57歳)、藤原喜明(66歳)、長州力(63歳)といったところ。私はこの興行を生観戦したが、どのレスラーも本当に元気で、驚いた。

その天龍引退興行でもぶっちぎりの高齢だったグレート小鹿が、74歳の誕生日に蛍光灯デスマッチに挑み、その翌日にはアジアタッグのベルトに挑戦するという。ディランも、青木功も、スタローンも、びっくりである。

残念ながら、蛍光灯デスマッチは観戦に行けなかったのだが、翌日のアジアタッグは見届けることができた。額に大きな絆創膏を貼ったまま入場してくるグレート小鹿の姿は、前日の蛍光灯デスマッチが中途半端なものではなく、本気で体を張って挑んだものであったことを物語っていた。
何よりも、その目のギラつきが尋常ではない。チャンピオンの木高イサミ&宮本裕向、パートナーの関本大介、今やプロレス界のトップと言えるレスラーたちに引けを取らない、いや、何なら圧倒していると思えるほどの異様なオーラが、小鹿の全身に漲っていた。
前半の試合で、バラモン兄弟が「お前らそんなに小鹿が死ぬとこ見たいのか!」と客を煽っていた。私も正直、良い試合などは期待しておらず、それなりに笑えて、小鹿が生きてリングを降りてくれればそれで十分だな、と思っていた。この日の観客の多くも、同じ思いだっただろう。だが、小鹿は、そんなものを見せるつもりは一切なかった。

小鹿は、勝ちに行った。小鹿の攻撃は、木高への足攻め、ほとんどそれのみと言ってもよかった。ロープブレイクでレフェリーに止められても、関本がタッチを要求しても、ただ、一心不乱に木高の足を責め続ける。途中で絆創膏を剥がされ、開いた傷口から流れる鮮血が、小鹿の顔面を真っ赤に染め上げる。だが、小鹿は止まらない。小鹿には、もはや、木高の足しか見えていない。74歳の繰り出す異様なまでの執念が籠もった足攻めに、私たちは引き込まれるしかなかった。
グレート小鹿は負けた。負けたが、かっこよかった。試合内容に定評のある大日本プロレス、そのメインイベントを立派に務め上げた、そう言って何ら問題ないだろう。この場に立ち会えてよかった、心からそう思えた。

そういえば、この日の休憩の際、音楽を早めに流してしまい、試合再開まで微妙に時間が空いてしまった。そんな時、大日本プロレスでは、決まって登坂社長がリングに上がり、マイクで場を繋ぐ。この日もいつも通り、急に出て来てアドリブで喋っているとは思えないくらい、堂々としたマイクっぷりだった。むしろ、それによって良い雰囲気で後半戦を始めることができた。
小鹿会長も、登坂社長も、会長、社長だからと言って、偉そうにふんぞり返ったりはしない。常に客の目に晒されるところに自らを置いて、体を張っている。戦国時代、強い軍を率いていた武将は、自ら前線に立つことが多かったという。それが軍全体の士気を高めるからである。

トップが体を張っている組織は強い。

大日本プロレスは、良いレスラーが集まる団体、熱い試合が行われる団体として、今その評価をぐんぐん上げている最中だ。この日の興行を観ただけでも、その道理がわかるような気がするのである。


余談。小鹿会長の試合後のマイクが「ワンモアチャンス!何度でも挑戦する!」という突っ込まずにはいられないもので、実にグッときた。プロレスラーらしいというか、嘘がないというか。
 

この記事を書いたライター: 富家イチロウ

コメント

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  • 正しく「格好悪いけど格好イイ(by…大槻ケンヂ)」を体現した時間かと思います。

    ID:218404 [通報]
    (2016/5/7 17:56)
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  • ほんと、体を張って団体に尽くす…と、いうか。この前の博多大会では自分でネタバレするなど天然なとこありますが本当、頭が下がります。
    あの歳であんだけ動けるのは驚異的。自分が70越えた時のことを考えると…。
    去年、サインしていただいた色紙は宝物です。

    ID:5984 [通報]
    (2016/5/8 18:16)
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