2021/12/20 12:21

中嶋を客席で見ていた内藤!鷹木vs中嶋、過去の対決の内容は!? 遂に全カード決定!新日本vsノアを占う!

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全11試合で全面激突!


 その大会開始前の口説を忘れることはないだろう。魅惑的な前口上で知られた新日本の田中秀和リングアナは、都下でも地方でも、第1試合開始前、必ずこう言った。「それでは、試合を開始致します!」文字通りの意味である。ところが、この20字に満たないありふれた挨拶が、一度だけ、こう変わったことがあったのだ。

「それでは、“闘い”を開始致します!」

 時は、1995年10月9日。場所は東京ドーム。そう、記憶にある読者も多いだろう。新日本プロレスとUWFインターナショナルが、全試合、対抗戦で激突した日であった。当然、会場には、両団体のファンがおり、下手をすればそれらを煽り兼ねない、危険な言葉。事実、今週発売の拙著(『コメントで見る!プロレスベストバウト』)にも書かせていただいたが、1994年4月16日のジュニア勢のオールスター戦『SUPER J-CUP』では同じ田中リングアナが、試合開始前、こう献言している。「今日は、相手をけなすんじゃなく、贔屓の選手を思いっきり応援してあげて下さい!」新日本vsUWFインターナショナルは、この1年半後の開催なのだが、にもかかわらずの同リングアナの“闘い”の言葉の使用。それは、溢れ出る気持ちと、そして、普通に試合と言ったのでは、結局、この日を表したことにはならないという、リングアナとしての沽券ではなかったか。

 久々に、この前口上が似合う大会となった。既報通り、来年1月8日、新日本とノアが全面対抗戦で激突(横浜アリーナ)。その全カードが12月17日(金)、発表されたのだ。第0試合を含めて全11試合がラインナップ。今回の当欄は、特にその中から、より注目の試合をピックアップし、細かなバックグラウンドとともに、今後についても占っていきたい。

後楽園ホールのメインで一騎打ちも。


 先ず付言しておきたいのだが、今回の発表された試合の順番は、まだ明確には決まっていない。推察出来るその理由は後述するが、それでも最注目の取り組みと言っていいのが、今回のカード発表会見にもVTRで出席した、鷹木信悟と、中嶋勝彦が絡む10人タッグマッチだろう。内訳は、鷹木&内藤哲也&SANADA&高橋ヒロム&BUSHIvs中嶋勝彦&拳王&征矢学&タダスケ&亜烈破。言わずもがな、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンと、金剛の対抗戦ともなる。とはいえ、やはり注視の対象となるのは、鷹木と中嶋の絡み。現IWGP世界ヘビー級王者vs現GHCヘビー級王者との対戦になるためだ。そして意外にも、2人の因縁は深い。

 そもそも同じ2004年デビューの2人。中嶋は1月、鷹木は10月だが、更なる共通点があった。それは周囲から、次代の新星と思われていたこと。中嶋は15歳9か月という、当時の男子レスラーとしては史上最年少でデビュー。よって、天才少年として。鷹木はDRAGON GATEでデビューも、その体躯を買われ、同団体きっての肉体派として。自身も「超肉体派」と公言し、それに付随し無類の筋トレ好きで、入場時にポージングを見せていたのが懐かしい(プロデビュー前、ボディビルの大会でも優勝している)。

 そんな2人だけに、初の一騎討ちもかなりの注目を集めた。2005年11月2日、DRAGON GATEでおこなわれた一戦は、鷹木サイドのドン・フジイが乱入も、ラリアットを鷹木に誤爆。中嶋が勝利したが、そもそもこの一戦が決まるきっかけは、1ヵ月前の10月9日、DRAGON GATEの川越大会の6人タッグで、鷹木が中嶋を執拗に攻撃してから。曰く、「一騎討ちをやらせろ!」デビューは9カ月遅いが年齢は6歳上の鷹木が、相当、中嶋を意識していたことになる。実際、今でも中嶋の主武器である蹴りを正面から受け止め、これみよがしにマスキュラーポーズを見せていた。

 2人は順調に成り上がり、この5年半後には、なんと後楽園ホール大会のメインで2度の一騎討ち。こちらは中嶋のホームである健介オフィスがダイヤモンドリングと団体名を改称しての第1戦。中嶋はもちろんだが、鷹木も大役を任されたことになる。試合は大激闘となるも、最後は中嶋が勝利。敗れた鷹木が、「これは中嶋勝彦、鷹木信悟の新章開戦」としていたのが印象に残る。そういえば、鷹木がIWGP世界ヘビー級王座を奪取した際、他、内藤や飯伏も含めた、『昭和57年(生まれ)組』というカテゴライズが話題になったが、実はこの2004年デビュー組も充実。鷹木に中嶋に、なんとオカダに潮崎も!これらは、今回の対抗戦の主要メンバーでもあるだけに、こちらの眼に見えぬライバル意識も、ぜひ頭に入れておきたい。

 さて、その中嶋がカード発表会見で、新日本でやってみたい選手としたのが「おいしい相手」。自らをこう称すことの多い内藤を指したと見られる。2人は2016年の『G1 CLIMAX』公式戦で初の手合わせともなる一騎打ち。しかも、中嶋の地元・福岡で、メインイベント。ところが中嶋は惜敗し、試合後、こう語っていた。「内藤哲也、俺が中嶋勝彦だ。今日だけじゃ、終わらせない。絶対、必ず、内藤哲也、あんたの前に現れる」。奇しくもその約束は今回果たされるわけだが、機先を制すのが上手い内藤だけに、ここは十分気を付けたい。因みに内藤は2005年デビューだが、なんと、この前年、新日本で戦った中嶋を、ファンとして観戦しているという!2004年5月3日、東京ドームにおける獣神サンダー・ライガーvs中嶋のことと思われるが、内藤はこれに触れ、「だから、“中嶋少年”というイメージしかないんですよ」とG1での一騎討ち前、バッサリ。普通、「自分より早くデビューして、しかも東京ドームでライガーさんと……」と考えそうなものだが、そんな畏怖が一切ないだけに、やはり、そのインサイドワークに警戒した方が良いだろう。

 同じことは、SANADAと征矢にも言えよう。2人は元全日本プロレスの盟友。しかも、タッグチーム『es』を組んでいた。しかし、“ワイルド劇場”でも知られる、時に破天荒な征矢に比べ、SANADAは今でもだが、正反対に、果てしなくマイペース。ファンからの公募で決定した、「エネルギッシュにエキサイトしてエボリューションする、真田と征矢」という意味の『es』の意味をリング上で問われ、『s』を、「あ、真田です」と、自分流にきっぱり解釈したことも。その後、SANADAが一足先に2013年旗揚げのWRESTLE-1に参じ、征矢も2014年1月に合流。実は征矢は2013年3月より怪我で欠場しており、その間に2人が当時いた全日本プロレスが分裂。このタイムラグが生じたのだった。さて、リング上で真田と再会を果たした征矢は、「真田、久しぶりだな。欠場してから分裂の……」と涙ぐむ。すると真田は一言、「なんで泣いてんの?」。さらに、「とりあえず頑張ろう。裏切りかも知れないけど気にしないで」と、エールなのか非難なのかよくわからない一言を炸裂させていた。

 当日は、征矢にとっては久々の大舞台。2人の再会は当然、衆目の集まるところとはなるが、熱くなり過ぎるとSANADAの泰然自若ぶりが吉と出る予感も。金剛はL・I・J側の駆け引きに乗らず、ノアリング同様の暴れっぷりが出来るかが鍵になりそうだ。

「1割しか動かない」武藤に要警戒。


 ある意味、この10人タッグ以上に熱い視線を浴びそうなのがタッグマッチ、オカダ&棚橋vs武藤敬司&清宮海斗。清宮はこの一戦決定前から、オカダを意識するコメントを出していたが、その歴史は古く、2020年5月24日、ノアのテレビマッチ『ノア“NEW HOPE”』で元WWE戦士のレネ・デュプリに勝利すると、闘いたい相手としてオカダの名を挙げている。曰く、「レインメーカーをこの体で体験したい」。一方、今回のノアとの対抗戦、並びに清宮について、オカダがこう返したのは、記憶に新しいところ。「オリンピック出てる人たちが、近所でやってる高校の話とか知らないでしょ。(以前、清宮は僕の名前を)せっかく出したのに、もっと言い続けたら良かったのになと思いましたけどね。それから言わなくなってしまったじゃないですか?ま、清宮選手もそこまでの選手なのかなって。ちょっと残念な感じがしましたけどね」

 つまり、差はあるぞというわけだが、実はこのオカダ、闘いたい相手として、清宮の名を挙げたことが。しかも、前述の清宮に先立つ約半年前に。それは、2020年1月16日、『プロレス大賞』授賞式の場。背景にはこの年、行われる東京五輪の影響があった。これにかこつけ、「せっかくのオリンピックイヤー。プロレスにもあんなオールスター戦があったんだよ、というのがあってもいい」としたのだ。この時、戦ってみたい相手として清宮や、宮原健斗(全日本プロレス)の名を出したのだ。コロナ禍により企画あたわずとなってしまったが、この時の視点はあくまで、一緒に盛り上げるための相手という位置づけ。オカダにとってはまだまだ新鋭の域を出ていない心象か。清宮が一杯食わすことが出来るかがポイントではある。

 だが、気になるのがパートナーの武藤との温度差だ。今回の対抗戦に武藤だけは、以下のスタンスを言明している。「今は昭和じゃねえんだ。どっちが潰れるとか、そういうものを見せる時代ではない気がするんだよ。殺伐したものじゃなく、ハッピーなものにしたいよな」。清宮との闘気とのチグハグさは気にかかる。

 とは言え、武藤はこと、ここ10年、タッグでのビッグマッチにおいては、「1割しか動かずに、後はパートナーに任せる」が口癖。その1割で、会場の色を変えてしまうのが武藤だけに、清宮に暴れるだけ暴れさせて、自身が最後は決めにかかる構図が見え隠れする。新日本サイドはこの瞬間に気をつけたい。逆に言えば、清宮自身、オカダ、棚橋はおろか、武藤のオーラにも飲み込まれない闘いが望まれよう。キャリアから見れば、1vs3ともなりかねない位置づけだけに、「清宮が一番目立っていた」と言わせる躍動に期待したい。それこそニュースター誕生の瞬間となるはずだ。

タイトル戦線次第で、試合順変更?


 さて、試合順についてだが、今の時点で決まってないのは、年頭、ノアも新日本もビッグマッチを控えているからと思われる。それも、主要タイトル移動の可能性も絡めた。1月1日のノアの日本武道館大会では、中嶋の持つGHCヘビー級王座に潮崎が挑戦。もしタイトル移動があれば、潮崎のカード、潮崎&マサ北宮vsEVIL&ディック東郷が、セミ以上になる可能性もあるだろう。その場合、EVILがGHCヘビー級王座の第1コンテンダーになる可能性も?

 IWGP世界ヘビー級選手権は、1月4日、5日、東京ドームで2連戦。現王者、鷹木がオカダの挑戦を受け、勝者が2日目にウィル・オスプレイの挑戦を受ける3すくみ状態だが、最終的に鷹木が王者なら、やはり10人タッグが大トリか。他方、オカダが王者となれば、清宮との対決は、メイン昇格はおろか、まさにタイトル戦への前哨戦となる見込みも。オスプレイ奪取による、海外流出だけは、面子面で避けたいところだ。

 全面対抗戦というと、一時的に人気は上がるにせよ、麻薬的な側面もあり、乱発すると団体自体の体力を奪うケースが過去、多々あった。ましてや、現新日本プロレス会長の菅林直樹氏は、他団体も含め、そういった歴史をつぶさに見てきた経験者。リスクヘッジにも期待がかかる。昨今、海外勢を思うように呼べない状況が続いているのは事実。しかし、日本の団体同士が互いに寄りかからず、タイトル戦を中心に新鮮な顔合わせを大切に実現させて行けば、少なくともオミクロン株に揺れそうな来年を乗り切れるのではないか。

 両団体が、しっかりと地に自身の足をつけた形での、スマートな交戦を楽しみにしたい。

※12月14日より、新たな拙著『コメントで見る! プロレスベストバウト』(マイウェイ出版)が発売中です。猪木vsアリから、高橋ヒロムvsエル・デスペラードまでのベストバウト40試合を掲載。ご興味のある方は、宜しくお願い申し上げます。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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