2020/11/9 11:46

あのお笑い芸人を救出!胸に刻んだビル・ゲイツの名言!話題沸騰!格闘歴から、アニメ好きまで、グレート-O-カーンの前史を探る!

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あのお笑い芸人を救出!胸に刻んだビル・ゲイツの名言!話題沸騰!格闘歴から、アニメ好きまで、グレート-O-カーンの前史を探る!
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早くもオカダと一騎打ち!(11月7日)


 ここ4年ほど、『反骨のプロレス魂』(BSフジ)というプロレス・ドキュメンタリーの監修をさせて頂いているのだが(来年頭にも新内容で放送予定)、放送の時間枠が長くなると、間にスパイス的なコーナーも必要となる。そこで、2年前の同番組では、合間に、元総合格闘技選手・小路晃さんが富山県で経営するラーメン屋を訪ねる企画を投入。そちらのレポーターをやって頂いたのが、中邑真輔の真似で知られるお笑い芸人かつ、西口プロレスなどでも活躍する、中邑珍輔さんだった。ところが、彼という人選を聞き、筆者が思ったのは、中邑選手本人のことでもなく、西口プロレスのことでもなく、新日本プロレスの、2014年5月25日の横浜アリーナ大会のことだった。とはいえ、生観戦している珍輔さんを筆者が観たわけでも、来場を知っていたわけでもない。後から知ったのだが、この大会を観戦しに来た珍輔さんは、暴漢に襲撃されたのだ。

 暴漢は50歳を超えた男性。時間、場所は、大会開始前の会場前。近づいて来て「気持ち悪いんだよ」と珍輔さんにいきなり殴打の連発。異常な素行に周囲がすぐ警察に連絡する騒ぎとなったが、その時、珍輔さんを助けに入った男がいた。暴漢を羽交い締めに。だが、「サバ折り状態にしてもまだ暴れるので、マウントポジションをとりました。『ぶっ殺すぞ!』とか叫び散らかれまして。こちらは『落ち着いてください』と言い続けるしかなかったのですが」と振り返る。いずれにせよ、かなりの暴虐ぶりを止めたこの人物は、当時、ブシロード所属で、警備員を担当していた岡倫之さん。そう、後に新日本プロレスでデビューしたヤングライオンかつ、現在のグレート-O-カーンである。

 グレート-O-カーンに対する注目が熱い。10月16日の緊急帰国(?)から、11月7日には、早くもオカダと一騎打ち。もともとアニメ好きを公言しており、お気に入りだった声優、三森すずこがその妻になったことも因縁に拍車。その個性的なファイトや異名『ドミネーター』(支配者)としての言動も含め、ことさら話題を集めている。

 果たして、なぜ、グレート-O-カーンは誕生したのか?そして、そのアニメ好きの内実は?今回の当欄は、この2つの視点から、グレート-O-カーンの、いわば前史を探りたい。

驚異の格闘技10冠王!


 岡倫之は、1992年、群馬県生まれ。既に2008年の高校2年生時より、アマレスで頭角を現していたが、2012年には、全日本選手権(フリースタイル120kg級)で優勝。翌年には全日本選抜でも優勝(125kg級)。今はご存知のようにプロレスラーだが、全日本選手権を制してプロレス入りした人材は、近年では藤田和之、杉浦貴以来であった。しかし、岡の更に凄いのが、レスリング以外の格闘歴。2015年に、(翌年の)リオ五輪出場から、目標をプロのレスラーに変更。転向表明した同年1月7日には、これがニュースになるほどだったから、逸材ぶりはいかなるばかりだったかいう感じだが、それもその筈。この時点で岡は、レスリングを含め、既に6種目の日本王者に輝いていたのだ。この時の種目の内訳は、レスリング、サンボ、ブラジリアン柔術、グラップリング、パンクチオン、ビーチレスリングだったが、以降も、他競技に参戦し続け、「10冠を達成する」と本人自らが宣言。岡は翌2016年1月3日に、正式に新日本プロレス入団を果たすのだが、その間に、Giグラップリング、ノーギ柔術(道着無しのの柔術)、サブミッションアーツレスリング、キックボクシングでも、各日本王者を達成。見事、10冠を果たしての、晴れての新日本入団となったのだった。

 その格闘性を示すかのように、最初のプロのリングは、実は新日本への正式入団前の2015年6月27日。『巌流島』道場マッチ2で、鈴木堅世を1R40秒で下し勝利。こちらはリング外に選手を3度押し出せば勝利となる形だったが、力のあり余りを示すかのように、翌日にはノーギ柔術の大会に参戦。こちらにも勝利し続け、優勝。しかも、「ウルトラヘビー級」「オープンクラス」の2階級での快挙であった。その性向と有望株ぶりを示すかのように、プロレスデビュー戦の相手は、永田裕志であった(2017年1月3日)。

 しかし、なぜ、これほどの格闘エリートが、今は武骨かつ無国籍な風采を思わせるグレート-O-カーンに変身したのか。ヒントは2018年6月23日の山形大会にあった。

 この日までは、上の人間と闘うことはあっても、「まだまだだ」「このままじゃ終われない」など、殊勝な反省の弁に終始していた岡。ところがこの日のカード『永田&中西vs天山&岡』で、なんとモンゴリアンチョップを初披露。パートナーが天山だったこともあるだろうが、試合後、天山に言われる。「ええモンゴリアン(チョップ)やってるやん。バンバン飛ばしてやれば……マスターしてくれな。なんかキッカケみたいなもんで、あれぐらいいけば、しっかりできるよ。OK、頑張れ」。すると、岡も自身でコメント。「俺は、変わる!強く、進化する!」そして翌日の岩手大会でもモンゴリアンチョップを炸裂。試合後には、こう力強く宣言した。「悩みは吹っ飛んだ!いい決心がついた!変わる!」

 そんな岡の次の試合は、6日後。なんと、参加予定のなかったイギリスの団体、RPWの第1試合。海野翔太の対戦相手「X」として登場した岡のいでたちは、キラキラとした金の装束!試合はモンゴリアンチョップの連発で、フィニッシュもセカンドロープからのそれ。そして何より、リングネームが変わっていたのだ。そう、グレート-O-カーンに。

 そしてこのオーカーンは、その後、消息不明に。事実は海外での修行さながらの試合に勤しんでいたわけだが、それから2年4ヶ月。遂に帰国したのが今のカーンなのだった。思うに、自らのスタイルに悩んでいたところに、天山からのアドバイスが活きたといったところか。

 ところでこの変身の前、岡が新日本プロレス内で、注目された出来事があった。それは2018年の1月。自らのTwitterで、こう呟いたのだ。『永田さんと、女優と、友達と、他団体のレスラーと、ファンと、毎日呑んでも潰れても全く溺れられない。だから未だ何も掴めていない。答えは出てないが、もう二度とピエロにならない。そう生きよう』。

 これだけではよくわからないし、真意も本人以外は不明だが、このツイートに返信が殺到。内容は、『辛い気持ちお察しします。応援してます』『これから先良いこともきっとあると思います』etc。背景には、この直前のある発表があった。オカダ・カズチカと声優の三森すずことの交際が明らかになったのだ。繰り返しになるが、上記の岡の呟きへの返信は、以下のようなものも。「推してる人の恋愛は傷つくもの」。そう、岡は、三森すずこがアニメで演じたキャラの大ファン。そして有名な、アニメおたくでもあった。

「彼女?別次元にたくさんいます」(岡・2014年8月)


 アニメにはまったのは中学生の時。いきなり重い話になるが、高校時代には、その格闘性溢れる巨体から、「デブ」「豚」などとののしられ、私物を隠されるなど、イジメを受けた過去が。それを救ってくれたのもアニメだった。2012年の末には、趣味宜しく、コミケ(コミック・マーケット)に足を運んだところ、ある人物が声をかけて来た。「いい体してるねえ」ブシロード会長の、木谷高明氏だった。「アマレスやってるの?じゃあ、大学卒業したら、うちに来ない?アマレスクラブ(『ブシロード・クラブ』)もある」。まさに互いにとって、渡りに船。2014年4月、ブシロード入社の運びとなったのだった。

 そのアニメ好きぶりが一躍知られるきっかけになったのが、2014年2月のプーチン大統領杯第40回全日本サンボ選手権大会。優勝した時の写真が報じられたのだが、そのサンボ着の下には、アニメでの展開を中心とする仮想アイドル『ラブライブ!』の美少女たちが描かれたTシャツが……。こちらが同『ラブライブ!』のファン達により、瞬く間に拡散。一躍有名人になったのだった。事実、6月のレスリング全日本選手権の会場には、岡を応援する(アニメ)ファンたちが、50人以上集結。木谷会長に、こう言わしめた。「お前、プロデビューしてないのに、こんなにファンがいるのか!」。そのアニメ好きぶりは、今更だが、透徹そのもの。2013年8月、茨城県大洗町で開催されたビーチレスリング大会では、こちらは実は蝶野正洋も大好きな『ガールズ&パンツァー』の上着と、『けいおん!』のショートパンツで出場。言うには、「僕にとっては、この大会は、コミケの代わりです」。しかも優勝していた。ブシロード入社後4か月後の8月、レスリングの世界選手権に出場するための会見の際は、ブシロード・クラブの監督を務める永田に、「全世界のオタクを代表してヴァンガれゼアッ!」と気合いを入れられ、「はいっ! ヴァンガります!」と応じていた。ブシロードのトレーディングカード・ゲームを原作としたアニメ、『カードファイト!! ヴァンガード』へのオマージュであった。

「『前橋の岡』をアピールしたい」(岡・2015年12月)


 いじめられていた時代、「言い返せない自分がいた」という岡。その性格は、優しさや気遣いの深さと表裏一体。プロレス入りに際しては、地元・群馬県は前橋市役所を訪れ、これを報告。実は前橋のキャラクター『ころとん』のイラスト入りの上着やハーフパンツも既成のアニメものに負けじと着用しており、前橋では話題になっていたのである。

 凄まじい格闘遍歴、及び実績は先述の通りだが、その信条は、「出した企画書が無理だと笑われないと、革命にならない」というビル・ゲイツの言葉。自身になぞらえ、こう語る。「アニメの主人公たちのように、諦めずに、人から無理と言われることにも挑戦し続けると決めたんです」。

 体格、実力、ともに文句無し。そして、帰国してからのグレート-O-カーンは、完全に自身を活かし切っている感がある。

 3年前、まだまだ鉄面皮がトレードマークだったオカダは、珍しくこんな大意のことを口にしていた。

「僕の後の世代とか、どうなるのか心配です」

 その不安を、一掃する存在が現れたと見る。大暴れに期待したい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

コメント

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  • ますますグレート-O-カーン様のことが好きになりました。
    素敵な記事をありがとうございます!

    ID:19386339 [通報]
    (2020/11/10 13:26)
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  • 海外遠征から凱旋帰国してそんなに経たない選手でありながら、既に自伝が1冊書けるくらいの人生経験をしているオーカーン選手。まだまだこれからがあるなんて、とっても楽しみです!応援してます!!!

    ID:19393366 [通報]
    (2020/11/10 19:40)
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