2020/11/2 11:17

人気関節技を再現した柴田勝頼!三沢が試運転していたあの技!ネプチューンマンの伝説技をDDT・竹下が披露!プロレスと『キン肉マン』特集!

閲覧数:551

まだ評価がありません

『ダブルレッグ・スープレックス・ホールド』を竹下が披露!


 DDTの大田区総合体育館大会が近づいてきた。11月3日におこなわれる同大会は、DDTの今年最後のビッグマッチと喧伝されており、好カード揃い。メインイベントの遠藤哲哉vs佐々木大輔(KO-D無差別級選手権)を始め、HARASHIMA&丸藤正道vsCIMA&高尾蒼馬や、高木三四郎vs青木真也のEXTREME級選手権も予定されている(※青木の対戦拒否発言もあり、どうなるかわからないが)。しかし、中でも注目されるのは、セミの秋山準vs竹下幸之介だろう。DDTの若き逸材がプロレス界の重鎮に挑む一戦。その前哨戦が10月25日におこなわれたが、竹内が見せたフィニッシュに、ネット上が驚きで沸いた。秋山のパートナー、大石真翔を変形ジャーマンでフォールし、秋山にも、「あんなんやられて、41歳(大石)でもこんなだから、51歳の俺だとヤバい」と言わしめたが、その技こそ、有名マンガに出て来る、伝説の技だったのである。そう、『キン肉マン』でネプチューンマンが使う、『ダブルレッグ・スープレックス・ホールド』だったのだ(※DDTの公式試合結果も、この技名で表記)。バックから相手の両腿を持ち上げてのジャーマンなのだが、マンガの方では、そのネプチューンマンのコスチュームの胸に棘がついており、それが相手の背中に刺さり、上体を固定。そこから両腿を持ち上げている。なので、相手の上体を特に固定出来ない上半身裸の竹下の同技の方が、完全に難易度が高いのだが、マンガでの初出は1984年。そこから36年。現実のプロレスの展開も、ここまで来たかという驚嘆があった。

 現在も毎週月曜、ネット配信による更新で、その日には必ずTwitterのトレンドワードに上がる人気漫画『キン肉マン』。プロレス界に有形無形の影響を受け、また、与えている。今回の当欄はやや変則ながら、プロレスと『キン肉マン』というテーマでお送りしたい。

『キン肉マン』を好転させた、『夢のオールスター戦』!


『キン肉マン』は、1979年に『週刊少年ジャンプ』で始まった連載漫画。主人公・キン肉マンを始めとする超人たちが敵と戦うというのが大まかなストーリーだが、冒頭の出来事とは逆に、そもそもは『キン肉マン』の方が、プロレスの影響を如実に受けていた。そう、作者の『ゆでたまご』(嶋田隆司さんと中井義則さんのユニット)が、大のプロレスファンだったのだ。

 その第1話から既に怪獣『アブドーラ』が登場。3話では金網デスマッチを披露している。だが、命名へのオマージュや設定の使用などは、バトル漫画ならあり得ること。初期の『キン肉マン』のプロレス愛の凄いところは、現実のプロレスをそのまま借用したところであった。4話ではキン肉ママが、夫の真弓の奮起をうながすため、ルー・テーズが50歳にしてNWA王座に返り咲いた逸話を披露。同話でキン肉マンは「私が燃える闘魂アントニオ猪木なら、(シモベの)ミートはさしずめ、人間爆弾・山本小鉄ってところだのう」と、知らない人にはさっぱりわからない発言をするし、7話では、「ジャイアント馬場は強い。アントニオ猪木にはガッツがある」と評価。ついには、馬場、猪木本人も漫画に登場し、タイヤで蹴鞠を披露(13話)。つまり、この時点では『キン肉マン』は、どこか“プロレスファンの内輪ウケ漫画”的側面もあったのである。

 しかし、この路線が福を呼ぶことになる。17話『プロレス大決戦の巻』で、連載の前の月に行われた(現実の)プロレス・オールスター戦『馬場&猪木vsブッチャー&シン』に激しくインスパイアされた作者は、「キン肉マン&テリーマンvsアブドーラ&猛虎星人」をマンガで展開。すると、この話の人気が異常に高く、読者投票でも高い評価に。以降、『キン肉マン』がプロレスをモチーフとしたバトル漫画に舵を取るきっかけとなったのであった。(集英社『キン肉マン超人大全』他より)。そう、間違いなくプロレスにより、『キン肉マン』は躍進を果たしたのだった。

第一期連載後年はUWFの影響も。


 以降、少年漫画のファンタジーは保ちつつ、プロレス界の要素をふんだんに取り入れるようになって行った『キン肉マン』。レスラーをモチーフにした登場人物だけでも、アントニオ強気(アントニオ猪木)、ロビンマスク(ビル・ロビンソン)、ガニアマスク(バーン・ガニア)、ビューティー・ローデス(ダスティ・ローデス)、ハンサム・レイスマン(ハーリー・レイス)等々、枚挙に暇がない。他にも、スカイマンはミル・マスカラスを連想させるし、バッファローマンはブルーザー・ブロディのイメージから思いついたと、ゆでまたご氏が明言している。そう考えると、日本でトップの人気を誇ったスタン・ハンセンがモデルとなった超人がいないのが、やや不思議だが……。とはいえ、そもそも、ゆでたまご氏は、超人・テリーマンを初期から登場させているように、テリー・ファンクの大ファン。1983年8月のテリー・ファンクの引退を、直後の連載回の扉絵で報じ、惜しんだことも(第218話)。テリーをテリーマンが肩車し、「お疲れさま。あんたの分まで頑張るぜ!」と言うのだが、ハンセンはテリーを引退に追い込んだ張本人(実際は師匠と弟子だが)。そちらをマンガに出すことは、作者としては気が向かなかったのかも知れない。余談だが、テキサス州アマリロにあるテリー・ファンクの豪邸には、ゆでたまご氏の描き下ろしによる、テリーマンの似顔絵が額に入れられて飾られている。

 この扉絵もそうだが、先述のように、現実のレスラーが登場する場合も頻出。坂口征二が猪木と『超人オリンピック』をテレビで観ていたり(103話)、キン肉マンがアントン・リブを屋台で売っている猪木と遭遇する回も(81話)。キン肉マンにサインをしてその健闘を称え、アントン・マテ茶を勧めた挙句、「アントン・リブはいらんかね~」と猪木は屋台をひいて去って行くが、これを丸々1ページを使って描出。ただ、バトル漫画として人気が出て来ると、縦糸は当然、主人公の超人たちvs敵となり、生身のレスラーの登壇は、あくまで賑やかし。しかし、作者のプロレス愛は、充分に伝わることだろう。

 連載の後年では、キャラクターのみならず、試合形式や技を取り入れることも。リングの両サイドに渡された複数の綱を敵、味方で引き、カードを決める“綱引きマッチ”や、柔道方式の“勝ち抜き戦”をトレース。いずれも新日本プロレス本隊vs維新軍の抗争で使われた試合(決定)形式だった。技に関しては、完璧超人のケンダマンが、バッファローマンにサソリ固めを炸裂(83年9月)。長州が藤波に造反しブレイクしたのが82年10月だから、その影響か。83年8月には、キン肉マングレート(初代)がニールキックを披露。これは、こちらを当時、フィニッシュしていた前田日明が同年4月23日に凱旋帰国しており。そちらにインスパイアされたものと見られる。前出のように、『キン肉マン』は現在も連載しているのだが、こちらは新シリーズであり、第一期の連載は、1987年に終了。ラスト近辺になると、キン肉マンが前田日明のキャプチュードを披露したり、敵が脇固めをかけたりと、1986年に新日本プロレスに出戻りし、リング上を跋扈したUWF戦士たちの影響も。なお、今でも『キン肉マン』のグッズは、アパレルを中心に大人気で、その専門ショップもあるほどだが、その中でも売り上げが高い、キン肉マンソルジャー率いる『超人血盟軍』の名称は、ラッシャー木村を頭領とする『国際血盟軍』から。なんとなく、マンガの方が有名になってしまった感もあるが。

三沢があの技を、試運転!


 そして、第一期の連載が終了すると、今度は、まさに冒頭のように、『キン肉マン』の方をプロレス界がトレースするケースが。モハメド・ヨネによる『キン肉バスター』は有名だし(著者の使用許可も貰っている)、まさに第一期が連載していた昭和の佇まいをどこか思わせる柴田勝頼は、パロ・スペシャルを披露したことも(2014年10月13日)。これまた人気超人、ウォーズマンの得意技で、マンガ内でも、(仕掛ける側に)高度なバランスが要求される難易度の高い技とされており、マンガでの初出から30年以上経っての披露に、紛れもなく技術の進歩を感じたものである。実は2つとも、もともとルチャ・リブレにある技なのだが、キン肉バスターはダメージを与える部位が違うし(ルチャではラ・マテマティカというが、どちらかというと関節技の部類である。)、パロ・スペシャルは同名ではあるが、仕掛ける選手の体の向きが違う。大きく言えば、2つともキン肉マンオリジナルと言って良いだろう。ヨネや柴田が、『キン肉マン』に幼少時、夢中になっていた姿も、なんとなく想起出来るだけにほほえましい。他にも、派生の続編『キン肉マンII世』で出てきたレジェンド(軍)と同名の軍団が、新日本プロレスに出て来たり(2007年)、近年は、新日本プロレスの選手たちとキン肉マンの超人たちのコラボTシャツ発売も。まさにプロレスをヒントに人気となった『キン肉マン』が、今はそのプロレスに恩返している形となっていると言っても過言ではないだろう。2009年には、コラボ興行の『キン肉マニア』も。ロビンマスクに扮したレスラーが、『逆タワーブリッジ』を披露していた。なお、阿修羅マンに扮したTAJIRIが一種の狂言回し役を演じており、そつなくこなしてはいたが、今だから書けるが、本人は『キン肉マン』を読んだことがなかったそうである。

 ところで、先に触れた技や『ダブルレッグ・スープレックス・ホールド』の他にも、現実のリングで披露されていない『キン肉マン』の登場技は多数。キン肉ドライバー、マッスルリベンジャー、マッスルスパーク等々。実は三沢光晴が練習で初公開した時のタイガードライバーが、マッスルリベンジャーに酷似していたのだが、実際のリング上の披露では、かなりシンプルに改変されていたという事実もある(三沢が『キン肉マン』を意識していたかは別として)。今後も冒頭の竹下のように、現実での各技披露は期待出来るのではないだろうか。それこそプロレスもキン肉マンも知るファンにとっては、一種の夢の実現と言っても良いだろう。

 先ずは11月3日、竹下のダブルレッグ・スープレックス・ホールドが再び披露されるか、注目したい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

コメント

    まだコメントはありません。

おすすめ記事

新しいコメントを投稿する

 [PCから画像ファイルをアップロード]

関連付けられたタグ

なし
[タグを付ける]

<< 一覧に戻る