2019/3/10 12:46

タイガー・ジェット・シンにかけられた意外な一言!猪木の意外な後継者!引退・獣神サンダー・ライガー。

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タイガー・ジェット・シンにかけられた意外な一言!猪木の意外な後継者!引退・獣神サンダー・ライガー。
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来年1月の東京ドーム大会で引退!


 2月上旬、闘魂三銃士系の本を作るために、ある関係者に話を聞いた。1984年から2006年まで、主に新日本プロレスの営業畑で生きたYさんは、だが、肝心の闘魂三銃士に対する評価は、やや低かった。例えとして、(よく言われることだが)昭和と平成と比べての、その殺気の無さに触れ、具体的に、以下の逸話を挙げた。

「例えば開場前、みんなでリングで練習してるでしょう?すると、突然、猪木さんが駆け込んで来るんです。そして、若手を突然殴る。すると、若手もわけがわからず猪木さんに殴りかかる。猪木さんは応対して、言うんです。『そうだよ、お前。プロレスラーはそうじゃなきゃ。お客さんはそういう、お前の必死さを観に来てるんだ』」

 気になり、その若手の名を聞いた。それは、獣神サンダー・ライガーの正体とされる男だった。

「そうねえ、ライガーは良かったね。いつも気持ちが入ってて……」(Yさん)

 獣神サンダー・ライガーの引退が7日、発表された。あり余る思い出が読者の皆さんにもあることと思う。偉大という一言では片づけられないこのレジェンドの素晴らしさの一端を、拙筆ながら書き記してみたい。

山本小鉄の提案を、一旦は拒否?!


 プロレスラーになった経緯は有名だ。小学6年の頃、本屋で藤波辰巳(現・辰爾)が表紙の専門誌に遭遇。その、筋骨隆々の肉体に魅せられ、それを産み出すプロレスという職業の虜に。ほぼ全てのプロレスラー志望者がそうであるように、体を鍛え始め、中学生ながら、スクワット3000回がこなせるように。ところが、筋肉がついたことで背丈の伸びがストップ。当時の新日本プロレスの入門規定に、到底ひっかからない低身長となってしまった。そこで、短身でも活躍出来るルチャリブレ・マットから逆輸入されるレスラーを目指し、NHKの講座でスペイン語を学び、一路メキシコへ。そこで遠征して来た山本小鉄を紹介され、新日本入りに至ったのだった。

 ところで、この時の詳細だが、既に知己となっていた現地のグラン浜田に、小鉄の泊まっているホテル(「ホテル・アラメダ」)を聞き、新日本プロレス入りを直談判(1983年6月)。この際、小鉄からは現地の団体、UWAを紹介される。ところが、ライガーは、既に現地の他団体、EMLLのルチャ学校にお世話になっており、翌日、再び小鉄を訪問。人としての筋として、UWA入りは出来ないと謝った。すると小鉄は、「では、新日本に来なさい」と望外の返答。そして、まさに今のライガーに至ったのだった。

 以上の話を、ライガー自身は、「小鉄さんに、『とりあえず入れておけば、そのうち諦めるだろう。その後はリング屋にでもしてやろうと思ってた』と後から言われた」と、笑いながら語るのだが、そういう会話が小鉄との間でなされたのは事実だろうが、内実は随分違うようだ。実はこの、ホテルでの小鉄との最初の出会いの際、当時のプロレス実況アナ・古館伊知郎も隣席していた。その古館が言うには、小鉄はライガーと話した後、なんとも嬉しそうな顔をして、古舘にこう語ったという。

「古舘さん、今、話してたアイツ、根性あって、なかなか見込みがありますよ。日本に帰ったら、すぐに私を訪ねなさいと言いましたよ」

 おそらく小鉄としては、先ず、UWAでデビューさせた後、新日本入りさせたいという腹案があったのではないか。事実、すぐ帰国したライガーは、そのまま新日本の合宿所入り。そう、入門テストなしという、特例中の特例だった。もちろん巡業にもすぐに同行。「あの時の子だね」と、古舘が話しかけて来た。古舘は自身が初監修した漫画で、若き日のライガーを主人公にしている。プロレスへの情熱が、先ずこの2人を動かしたと言っていいだろう。

 さて、合宿所入りしたライガーは、新弟子のご多分に漏れず、ちゃんこ番も歴任。ところが、ある時、衝撃的な事件が起こる。なんと先輩たちがライガーのちゃんこを食べず、外に食べに行ってしまったのだ。イワシ団子のちゃんこを作るのに、ミキサーを使わず、より丁寧に、包丁で叩いて作ったのが原因だった、骨が全部残ってしまっていたのだった。一念発起したライガーはこちらの名人である永源遥に弟子入り(?)。時を置かずして永源から、「お前のイワシ団子、本当に美味くなった」と褒められるのだが、実を言って、ライガー関連のこの手のエピソードには、枚挙に暇がない。そう、今更ながらライガーは、極度の努力家、そして、負けず嫌いだった。

道場では、あの長州も脱帽!


 道場では、朝から晩まで練習に次ぐ練習。入門当時の1983年、敵側の『維新軍団』におり、本隊の練習の終わった夜に道場に来ていた長州力をして、こう言わしめた。「お前は、レスラーの鑑だな」。初の海外修行の地はイギリスだったが、これは現地を主戦場とする初代ブラックタイガーが、「ぜひ彼を連れて行きたい」と希望したものだった。そのイギリスで、下手ながら高慢ちきな現地選手を、船木優治(現・誠勝)と潰してしまった伝説も。その際、余りに激高し、「お前なんか、二度とリングに上がるな!」と言い、バックステージでその日のギャラを投げつけてしまった。だが、控室に戻ると、同じく同選手を内心快く思ってなかった大半の選手たちが2人を称え、ギャラを皆でカンパしたという。

 その気骨は、大物相手でも変わることはなかった。天龍源一郎と初対決した際は、いきなり低空のドロップキックを炸裂(1993年8月)。「最初は、『こいつ、背が小さいから、ドロップキックも低いのかな?』と思った」と笑う天龍だが、「でも、膝を正面から蹴ってた。今、考えると、あれは完全に潰しに来てたよ。もし、あの時、膝を曲げてなかったら(=足をまっすぐにしていたら、)完全に膝が壊れてたよ」と付言。その真顔が印象的だった。

 当然だが、強くなることにも貪欲だった。実は柔術においては、「弟子をとって良いレベル」とされる、紫帯の持ち主。遡るが、いわゆる、UWF勢から、移籍の誘いがあったことも有名だ。だが、キャリアは10年を超える、柔術の試合への出場はなかった。理由を問うと、「僕は新日本の契約選手ですから。まあ、引退したら、出てもいいですけど」UWFスタイルへの見方も、昔から一定している。

「そのスタイルって、自分でやってて楽しいの?って思うんですよね」

 努力、負けず嫌い以上のライガーの原動力、それは、「プロレスが心底好きである」という心ではなかったか。

あの凶悪レスラーの、意外な一言!


 1979年8月26日、「夢のオールスター戦」を観戦した、当時15歳だったライガー。参加したミル・マスカラスのマスクが欲しかったが小遣いが足りず、ゲンコツ大のミニマスクで我慢。それでも、「ひょっとしたら」と、駅のトイレで被ろうとしてみたという。

 そんなライガーにとって、マスクマンへの変身は大願の一つでもあった。ところがコスチュームの元となる原画を見てビックリ。日本マットでも例をみない、全身コスチュームでのマスクマンだったのだ。アセモが出来、シャワーは一日4回。デビュー戦の直後には、体重が3kg減っていたという。汗でコスチュームが体に貼りつき、一人で脱ぐことも出来なかった。以前もこのコラムで触れたが、このコスチュームを試着してみた記者はビックリ。全く足元が見えない仕様だったのだ。そして、ライガー自身、すぐにわかったことがあったという。「これは、今までの3倍疲れる……!」と。そして、こう結論を下した。「なら、今までの3倍、練習すればいい」

 最初のリングネームは、「獣神ライガー」だったが、1990年1月、同名アニメの展開と合わせ、より強力な力を持った、「獣神サンダー・ライガー」に改名。マスクもツノ付きとなった。この時期、記者があるレスラーに聞いた。「ライガー選手のツノとか、笑っちゃいません?」選手は紳士然としながらも、こう答えた。「彼は強くなったから、あのツノが生えたと聞いたよ。なんでそれを笑えるんだい?」それは、若い時からライガーの素質と姿勢に惚れこんでいた、初代ブラックタイガーの言葉だった。同時期、新日本に久々に参戦した外国人には、すれ違った際、呼び止められ、こう言われている。「俺、お前のファンなんだよ」。“狂虎”タイガー・ジェット・シンの言葉だった。

 この年になると、異変も起きた。それまで、新日本の営業車からは、アントニオ猪木の「炎のファイター」が流れていたのだが、これがライガーのテーマ、「怒りの獣神」に変わったのだ。同年7月に、猪木が参議院議員になったことも影響しているが、ライガーは、まさに新日本の新たな顔となったのだった。

「夢のために努力して。その努力は必ず役に立つ」(ライガー・下記講演会より。)


 2009年11月11日、ライガーは母校の舟入小学校を訪問。当時の小学6年生たちに、自身の経験も交え、講演。夢を持つことの大切さを強調した。そのラストに、8年後、20歳となる児童たちに、未来の自分へのメッセージ・カードを書かせる企画があった。「宇宙飛行士になりたい」「野球選手になれましたか?」etc。そんな中、ライガー自身も、未来の自分に、こうメッセージを送った。

「まだ髪の毛はあるか?まだ現役か?まだしっかり練習してるか?頑張ってるか?頑張れよ、おれ」

 そこから8年を超える10年。自らとの約束を守り、獣神が、遂にその闘いの歴史に幕を引く時が来た。数々の激闘の記憶は、決して色あせない。ありがとうの言葉とともに、最後を見守りたい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

コメント

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  • いい記事だった。

    ID:10424883 [通報]
    (2019/3/10 21:37)
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  • ライガー の凄さが分かる。昔はライガー のファンと言ったら仲間内にガキだってバカにされたけど、今は俺の誇りです。ライガー さんお疲れ様!

    ID:10321443 [通報]
    (2019/3/14 16:46)
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