2019/2/15 10:13

新日本プロレスを盗んだ男ジェイ・ホワイトと棚橋弘至の復活

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新日本プロレスを盗んだ男ジェイ・ホワイトと棚橋弘至の復活
4.2

2019年2.11エディオンアリーナ大阪のメインイベントで、カード決定時にはほとんどのファンが予想していた結末と異なるを迎える光景が広がっていた。
皆が棚橋弘至のエアギターを想像しただろう、皆が棚橋弘至の「愛してます」を聞けると想像しただろう。
それ程に2018年G1 CLIMAXで優勝してからの棚橋弘至の勢いは凄まじかった。
もはや勝てないと思われていたオカダ・カズチカへの勝利。
時の王者ケニー・オメガとのイデオロギー闘争では、自身がかつてリングに持ち込むことを否定した怒りをテーマに、新日本プロレスのプロレスラー棚橋弘至が完成した。
その棚橋弘至が約4年ぶりに腰に巻いたIWGPヘビー級のベルト。

だが、この日の最後にベルトを掲げていまのは26歳のリアルな嫌われ者ジェイ・ホワイトであった。
2018年1.4東京ドームで凱旋帰国を果たした時とは別人のような若者がそこにいた。
凱旋帰国時は人の良さが隠しきれていない童顔と、Switchbladeというキャラクターがミスマッチだなという印象が強かった。
さらに仲間と群れない雰囲気と異なり、ヒール色を失ったCHAOSに加入。
一時期は仲間が「ざんまい」アピールをしている前を通り過ぎて笑いを誘う役割にまで落ちたと思われた。

ジェイ・ホワイトが本格的にヒール色を強めたのは2018年のG1 CLIMAX。
その背景にはケニー・オメガ派とコーディ派に分裂したBULLET CLUBが再結成直後に、BULLET CLUB ELITEとBULLET CLUB OGに再分裂したことも関係しているように思えた。
正統派で、誰からも好かれるユニットを目指したBULLET CLUB ELITEと違い、BULLET CLUB OGは明らかに自分達が脚光を浴びない不満を対戦相手や観客にぶつけるヒールユニット。
オリジナルギャングスターの略称に相応しい活躍をしていくBULLET CLUB OGとジェイ・ホワイトの合体は必然であった。

ジェイ・ホワイトを新リーダーに、ヒールユニットを成功に導くバイプレイヤー邪道・外道を迎えて、新生BULLET CLUBとなった彼らには、かつてプリンス・デヴィットやAJスマイルズがリーダーを務めていた頃のような輝きを取り戻した。
ケニー・オメガが実質ヤングバックスとCody、ハングマン・ペイジ、マーティ・スカルしか必要としていなかった頃と違い、タマ・トンガ、バッドラック・ファレといった古参のメンバーが再び頭角を現したのだ。
チームとして再生したBULLET CLUBと、彼らを率いるジェイ・ホワイトの勢いは凄まじく、長年戦い続け、同じコーナーに立つことすら想像できなかった棚橋弘至とオカダ・カズチカを結びつける。
さらに本隊とCHAOSが合体しても、BULLET CLUB優勢は動かなかった。
棚橋弘至がスポットライトを浴びて復活を印象づけていた間、ジェイ・ホワイトは着々と説得力を身に纏っていたのだ。


2019年1.4東京ドーム。棚橋弘至vsケニー・オメガのイデオロギー闘争と、内藤哲也vsクリス・ジェリコの遺恨決着戦の影で、1年間使い続けたロングコスチュームを捨て、かつての絶対王者時代を彷彿とさせるショートタイツ姿のオカダ・カズチカを相手に、ジェイ・ホワイトは完璧なフォームから繰り出されたレインメーカーを切り返すブレードランナーを決めて勝利。
スペシャルシングルマッチとして近年最大のインパクトを残した。

一方の棚橋弘至はケニー・オメガに勝利することで新日本プロレスを正常な姿に戻すことに成功。
新日本プロレスを新日本プロレスのまま世界に広める決意を新たに、「平成最後のIWGP王者ではなく、新元号最初のIWGP王者になる」と話した。
その姿は右膝に一生完治しない負傷を抱えたプロレスラーとは思えない力強さがあった。

しかし現実は棚橋弘至の敗北。それも大技や飛び技に頼るのではなく、棚橋弘至が大切にしてきたフィニッシュホールドを巡る攻防をふんだんに含んだ新日本プロレスらしい試合で3カウントを聞いた。
試合後には「愛してます」ではなく、大阪の観客を散々罵倒する声と「New Era」という新時代宣言が行われた。
キャリア6年弱で時代を掴んだ男とは対照的に、キャリア20年の棚橋弘至の口からは「もう無理だ」という言葉が飛び出した。

「疲れていない」
「新日本プロレスのエース」
「100年に1人の逸材」

遥かに先輩である獣神サンダーライガーから、ベルトを所持していなくてもチャンピオンと呼ばれる男の姿はそこになかった。

しかし、棚橋弘至の復活を信じるファンは多い。
一度はIWGPにさよならをし、オカダ・カズチカに新日本プロレスを任せた。
内藤哲也にトドメを刺されたかに見えた。
しかし、その度に棚橋弘至は復活してきた。

膝が動かなくても、肘からサポーターが外せなくなっても、その度に現在の自分を受け入れ、プロレスの素晴らしさを伝えてきた。
棚橋弘至はこのまま象徴では終わらない。
負けた日から始まるのだ。それが

棚橋弘至の復活。

この記事を書いたライター: シンタロー

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