2019/2/3 11:57

リングネーム候補に『骨折』!? 闘いの意義を気づかせた丸藤戦!さらば、ヒデオ・イタミ!? KENTA、WWEでの闘いの軌跡!

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リングネーム候補に『骨折』!? 闘いの意義を気づかせた丸藤戦!さらば、ヒデオ・イタミ!? KENTA、WWEでの闘いの軌跡!
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4年半のWWE生活に終止符!?


 日本におけるWWEの会見は、極めて手厚いものがある。いわゆる一流ホテルなどが使われることがあるのはもちろん、終了後はTシャツ、クリアファイルなどの、お土産が配られることが多いのだ。それらはいわゆるパブリシティ用の品々で、非売品。同団体の熱狂的ファンであれば、喉から手が出るレベルのものも多いと思う。

 反面、実際の大会取材はどうかと言えば、こちらは…流石に権利社会、アメリカが誇るエンターテインメント団体だけに、その線引きは厳しい。マスコミ陣に会場の中腹あたりの席が用意されるのは、日本の団体でもままあることだが、リングサイドでの撮影は基本禁止。バックステージでの取材も同様。つまり、来場したファンが観ているものと、ほぼ変わらないのである。昨年、KENTAこと、ヒデオ・イタミが凱旋帰国した際の、大手朝刊スポーツ紙に載った写真は、まさにその中腹の客席からのロングショット。ヒデオがコーナートップに上り、見栄を切る1枚だが、何万人がネットも通じて観るそれにもかかわらず、なんとボヤケていた。だが、この時、近くにいた筆者は、同社の記者がやむなくこれをチョイスした気持ちが痛いほどわかった。リング内の攻防を客席から撮ると、どうしてもロープが入ってしまう。障害物のない体でリング上のヒデオを撮るには、コーナーに上った時しかチャンスが無かったのである。

 しかし、少なくとも日本側のそんな心配はなくなりつつあるかもしれない。1月29日、WWEで活躍していたKENTAが、Twitter名をこれまでの「HIDEO ITAMI」から「KENTA」に変更。「THANK YOU.」とも投稿し、話題に。具体的には、WWEからの退団が(既に現地では)噂されているのだ。

 加えて、前所属団体のNOAHが大きく動いている。さる1月28日、内田雅之会長が同月いっぱいでの退任を表明。さらに2月1日より、広告代理店「リデット・エンターテインメント」が新たなオーナー会社になることが発覚。元は新日本プロレスでコンテンツ統括事業部長も務めた、武田有弘氏(同社常務取締役)が陣頭指揮を執ること報道されている。29日、リデット社事務所で行われた会見で同氏は「選手たちには、リング上で明確にノアの新しい顔をつくってほしい。その新しい顔にノアを引っ張ってもらいたい」と語ったが、これは新たにフロントの舵を執る立場として、偽らざる本音だろう。

 そこに来てKENTAの前記の投稿。WWEを退団した場合、その後90日間は他団体の試合に出られないこともあり、早急に結びつけるのは愚の骨頂だが、この時期の同アクションに、何らかの大きなうねりを期待するのもファンの気持ちならではだろう。

 今回の当欄は、こうした動きを鑑み、これまでのKENTAのWWEでの活躍、言うなれば、「ヒデオ・イタミの軌跡」をわかりやすくまとめてみたい。

なぜか下村博文文科相(当時)からのお祝い映像も(2014年7月12日・大阪)


 KENTAとWWEが正式契約したのは、2014年の7月12日。WWE・大阪公演(舞洲アリーナ)のリング上にて。メイン前、ハルク・ホーガンに呼びこまれ、リング上でサインした姿は語り草だ。今、振り返っても、KENTAを呼び出す際のホーガンの「メガ・メガ・ジャパニーズ・スーパースター!」とのマイクでの煽りには天井知らずの期待を感じるし、一緒に退場しようとしたところを、KENTAが機転を利かせ、ホーガンにはリング上に戻るように仕向けたのも強い心象を残す。ホーガンのパフォーマンスを、客が観たがっているのが分かっていたのだ。いわゆる“空気の読み”も抜群で、「想像以上に早く、KENTAはトップ戦線に食い込むのではないか?」との感懐を持った。

 同年9月12日、下部組織、NXTで米・リングデビューを果たしたKENTA。リングネームは、『ヒデオ・イタミ』と変えられる。このイタミについて、当初は、海外でも有名な映画監督、伊丹十三等、日本で高名な名字(伊丹)を使用したもの、という報道もあったが、実は「痛み」の語呂合わせ。というのも新リングネームを決める際の話し合いで、KENTAは、数々の英語が、日本語ではどう発音するのかを質問されたことがあったという。例えば、シャドーなら影、ペインなら痛み、というように。挙句、リングネームの候補に「コッセツ(骨折)」も挙がっていたという。海外でも人気の漫画『NARUTO』に『ペイン』なるキャラクターがいたことも考慮されたという。

 そんな、ややインフォーマルな命名過程を経てのデビュー戦の前日には、同リング上で挨拶。しかし、ここでKENTAが魅せる。第一声こそ、「ハロー、NXT」だったが、その後はなんと、「みんなのヒーローになれるようにこのリングでベストをつくしたい」という、日本語でのマイクだったのだ。さらに、この際のホスト役としては、日本マットもよく知る“レジェンド”、リック・フレアーの登壇を予定。フレアーは結局、胃の手術で欠場したが、KENTAへの厚遇ぶりが手に取るように伝わって来た。そういえばリングネームの片方、『ヒデオ』は、漢字で『英雄』を意識したもの。元メジャーリーガー、野茂英雄の影響下にもあるが、つまり、相手に痛みを与えるヒーローとしての期待が織り込まれたリングネームだったのだ。

 KENTAもよくこれに応え、翌2015年の『レッスルマニア』直前のトーナメントで優勝。しかも、決勝の相手は、元新日本プロレスのプリンス・デヴィットとして知られるフィン・ベイラーだった。そしてこの優勝の権利として、『レッスルマニア』の前座に行われる『アンドレ・ザ・ジャイアント杯バトルロイヤル』に出場。同時期、WWEから殿堂入りの表彰を受けた藤波辰爾からも「これだけの規模でやれるのは日本ではない。もっと上に行ってほしい」と激励される。前途は洋々と思われたが、好事魔多し。6月に、プロモーション活動でWWE入りしてからは初の帰国を果たしたKENTAは、左腕に黒い器具を装着して登場。「そういえば、メイウェザーとやったマニー・パッキャオも、これを同じようなのをしてましたよね」とおどけたが、表情は浮かなかった。左肩を負傷していたのだ。

現在も左腕にはロング・サポーターを着用


 負傷したのは5月の下旬。2015年7月におこなわれたWWE日本公演では、メンバーに入っていたにもかかわらず、リング上での挨拶のみで試合は出来ず。結局、復帰はなんと1年1ヶ月後の2016年6月。ところがこの年の10月には首を負傷し、再び長期欠場。同年12月のWWE日本公演も、試合出場はなかった。ようやく所属の至宝、NXT王座に挑戦出来たのが2017年の5月。既にNXTデビューから、2年8ヶ月が経過していた。

 巻き返しはここから。WWE戦士として、初の凱旋試合が実現した2017年の6月30日(両国国技館)には、あのクリス・ジェリコと一騎打ち。第1試合で、しかも惜敗だったが、ジェリコをして、「未来のNXT王者」と言わしめた。同年12月には、クルーザー級選手を中心とした試合中継『2O5 Live』に昇格。同月には、既に一軍の『RAW(ロウ)』で活躍していたフィン・ベイラーの助っ人という形で現れ、一時的に『RAW』デビューも。ドラゴン・スリーパーの体勢から相手を反転させ、膝蹴りをぶち込む『サクラ・ニーストライク』という新フィニッシャーもひっさげ、クルーザー級戦線を盛り上げた。

 とはいえ、日本のファンにはやはり、昨年9月の一時帰国が記憶に鮮明だろう。そう、かつてのNOAHの盟友、丸藤正道との一騎打ちである(9月1日・両国国技館)。久々に緑のリングに帰還し、丸藤には敗れたものの、試合後、KENTAは、「今日は嬉しかった」とコメント。その理由を、続けて、こう述べた。「こういう、誰かから必要とされる感じが、自分が求めてるものなんだと」……。

好角家だけに、稀勢の里の横綱昇進時は、「心の中で祝杯を」(KENTA)


 2014年後半の渡米後も、常に日本マットを気にかけて来たKENTA。天龍源一郎が引退を発表すれば、「しっかりとその背中を追って行きたい」とし、森嶋猛が引退を表明すると、「一緒に闘ってきた仲間の引退は非常に残念です。何もこんなに急いで引退を決めなくてもよかったんではないか?というのが本音ではあります」とSNSでコメント。三沢光晴の命日近辺には、自身とのリングでのツーショット写真とともに、『Never Forget』とハッシュタグをつけた。

 もちろん、NOAH戦士たちも、KENTAを忘れてはいない。負傷時には小橋から「リハビリをしっかり頑張れよ」とエールを送られ、丸藤からも「お大事に」といたわりが。因みに、左肩負傷からの復帰戦の6人タッグでパートナーを務めたのは、元はNOAHで激闘を繰り広げたマイキー・ニコルズ、シェイン・ヘイストだった。

 ともすれば外国人選手からは嫌われがちな、その当たりの強いファイトで知られるKENTAだが、NXTのゼネラル・マネージャー、ウィリアム・リーガルからは、「今の(日本での)ファイトスタイルを崩さないように」とお墨付きをもらっていた。よってその闘いぶりに豹変はなく、むしろ進化しているのが特徴。串刺し式ドロップキックは、時にフィニッシャーとなるほど多用しているし、go 2 sleepも健在。新技としては、前述のサクラ・ニーストライクはもちろん、『リングス・オブ・サターン』なる羽根折式脇固めも威力十分だ。清宮、拳王ら、若い力が台頭するNOAHのリングで対峙するに、支障はないと言えよう。

 次なるKENTAの行動に、注目したい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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  • KENTAにはノアでチャンピオンになって、ノアを活性化させてほしい!他のレスラーとの絡みも見てみたい!

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    (2019/2/13 22:58)
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