2018/10/7 12:04

棚橋がTARUと激突?中嶋と本間が合体攻撃!IWGPヘビー級戦で実現!「3WAYマッチ」特集

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2.8

王者ケニー・オメガvs飯伏幸太vsCodyで実現!


 2008年8月15日、IGF・両国国技館大会の第7試合にて、珍妙な光景が見られた。ゴングが鳴るや否や、ネクロ・ブッチャーが、和田良覚レフェリーに襲いかかったのだ。選手がレフェリーに手を出すことはままあるが、まだ、何の攻防も始まっていないのである。この時、ネクロの隣には、ケンドー・カシンが、和田レフェリーの隣には、ロブ・ヴァン・ダムがいた。なんのことはない、ネクロがこの試合を、2vs2のタッグマッチだと思っていたというオチだった(※和田をヴァン・ダムのパートナーと捉えた)。そう、同試合は、3人で行われるフォーマット、つまりは、3WAYマッチだったのだ。

 10月8日(月・祝)に迫った新日本プロレス・両国国技館大会にて、この3WAYマッチが採用される。しかも、メインイベントのIWGPヘビー級選手権においてである。国内での同王座戦としては、実に13年前の2005年10月8日に、東京ドームで行われた王者・藤田和之vs蝶野正洋vsブロック・レスナー以来の適用。IWGPタッグ戦や同ジュニアタッグ戦などにおいてはよく見られてきた試合形式だが、こと、至宝・IWGPヘビー級王座での施行については、賛成、反対、不安など、さまざまな意見が飛び交っているのも事実である。

 今回の当欄は、この3WAYマッチを大特集。その魅力を解剖したい。

WWEでは定番化していた3WAYを、サイモン体制で導入!


 90年代より、FMWなどでは稀におこなわれてきた3WAY戦だが、いわゆるメジャー団体で最初におこなわれたのは、2001年1月13日の、NOAHの大阪府立体育会館大会においてではないだろうか、カードは、スコーピオvs丸藤vs金丸。これは、小林健太(後のKENTA)の欠場により、タッグマッチが3WAY戦に変更となったものだった。結果は、スコーピオが、丸藤、そして、金丸を料理して勝利。……ん?スコーピオの、2連勝となっている。

 そう、現在の3WAY戦は、「最初に勝った者を勝者とする」というのが基本のルールだが(※10月8日のIWGP戦もこのルールでおこなわれる)、この時期はその決着法も暗中模索。3人で同時に闘い、最後の1人が残るまでというルールとされたのだった。因みにこの形式は現在、一部では「サバイバル方式」と言われ、近年では、2014年8月のDDT・両国大会のメイン、KO-D無差別級選手権:HARASHIMA(王者)vsケニー・オメガvs木高イサミで使われている(※HARASHIMAが勝利)。

 件の13年前のIWGP戦での実現については、当時の新日本プロレス社長、サイモン猪木氏が、昨年、インタビュー(わけあってお蔵入りしたのだが)にて、こう語ってくれた。

「その年の5月に社長になったのですが、9月頃までは、前の社長やマッチメイカーが契約した選手などの約束もあって、自由に出来なかった。そして、11月に、新日本プロレスは、ユークスの子会社になりました。ですので、今考えると、僕が唯一、自分の思うマッチメイクが出来たのが、この10月の東京ドーム大会でした。3WAY戦については、『とにかく新しいことをやらないと』という気持ちと、アメリカでは既に馴染みのマッチメイクだったことが挙行の理由でした。僕の算段としては、しっかりレスリングが出来る海外の選手を呼び、それらと新日本のレスラーが互角以上のファイトが出来るのを海外に配信していきたかったのです」

 事実、この時の東京ドーム大会には、チャーリー・ハース、マット・モーガン、マーク・ジンドラックという元WWE戦士が参戦。いずれも内容のある試合をみせている。

 さて、肝心のメインだが、意外や意外、かなりの盛り上がりを見せていたと言っていいだろう。というのも、初来日となる、これまたWWE戦士、レスナーの存在感が圧倒的で、そのフィニッシュ、バーディクト(WWE時代の名称はF5)を藤田に仕掛けようとすると、蝶野がそれをカットし、では、蝶野にそれを仕掛けようとすると、藤田がそれをカットし、という具合。連係でこそなかったが、2人でレスナーに殴り掛かるシーンも。最後はレスナーがバーディクトを藤田、蝶野に連続で見舞い、藤田が場外で憤死する中、蝶野をフォール。さながら、1vs2のハンディ・キャップ・マッチの様相で、レスナーの強さの印象が際立った。それはこれ、3WAYマッチの功績に他ならなかった。

 なお、新日本において、珍しい面子で行われた3WAY戦が、2007年5月1日の大会。棚橋vs中西vs…なんと、TARUである。これは、当時、新日本が推進していた本体とは別ブランド「WRESTLE LAND」のメイン(後楽園ホール)。エンターテインメント色を強く打ち出した同興行で、リング上に吊るした鉢巻きを取り合うラダーマッチとして敢行。ラダーを昇ろうとした棚橋のタイツを中西が引っ張り、でん部をあらわにさせたり、ラダーを中西が設置するも、鉢巻きとの位置が1メートル以上離れていたり……。楽しいプロレスを標榜した同ブランドらしい試合であった。

ケニーがイサミを持ち上げ、場外のHARASHIMAにぶつけるシーンも(2014年8月)


 しかし、そう、その“楽しさ”。そこに3WAYマッチの、いわば弊害もあると言っていいだろう。3人同時に闘うということは、1vs1ではないということ。タッグマッチでも、リング内では通常1vs1だ。つまり、どうしても、勝負としての色が、3WAYマッチでは薄くなる傾向があるのである。例えば、2016年10月1日、NOZAWA論外による興行では、TAJIRIvsスペル・クレイジーvs黒潮“イケメン”二郎が実現。クレイジーがTAJIRIにロメロ・スペシャルをかけると、黒潮がその間に滑り込み、クレイジーを体固めに(カウント2)。場内の笑いを誘った。2009年の8月、2リーグ制でおこなわれたゼロワンの『火祭り』決勝大会では、なんと、片方のブロックは4人が、もう片方は3人が同点で並び、やむなく、それぞれ4WAYマッチ、3WAYマッチで決勝進出者を決めることに。前者は、佐藤耕平が大谷をドラゴンスープレックスに捉えた瞬間、曙も日高郁人をフォールに捉え、同時に3カウント入ったのだが、日高の足がロープにかかっており、曙の勝利は幻に(※佐藤が決勝進出)。楽しいというわけではないが、こちらもこの試合形式が内包するゲーム性が、よく出ていたと言える。

 反面、3WAY戦ならではの面白さもある。それは、大きく2つある、攻め方の違いだ。1つは、「1人が、他の2人を攻めるシーン」。例えば、先の『火祭り』決勝進出戦の、3WAYの側では、関本大介が、崔領二にインディアン・デスロックを極めつつ、田中将斗にノーザライト・スープレックスを炸裂。他にも、崔にジャーマンを仕掛けようとした田中をそのままジャーマンで(2人ごと)投げたりしている。2011月2月6日、全日本プロレスでの近藤修司、カズ・ハヤシ、稔の3WAYでは、トップコーナーにのぼったカズを稔が雪崩式に捉えようとするところを、近藤がまとめてバックフリップ!冒頭のIGFの両国での3WAYでは、ネクロに雪崩式ブレーンバスターをかけようとするヴァン・ダムの股にカシンが入り込み、パワーボムで投げ落とすシーンも。結局、誰にダメージがあるのかよくわからない展開になっていた(カシンでないことだけは確かだが)。

 そして、もう1つの攻め方が、「2人で、残りの1人を攻める」というものである。2006年3月21日の全日本プロレスでは、チャンピオン・カーニバルの出場をかけて、中嶋勝彦、本間朋晃、NOZAWA論外が3WAYで激突。中嶋が、普段は佐々木健介とやる合体技『鬼嫁殺し』(健介が勝彦の体を回転させての回し蹴り)を、本間と披露し、論外に炸裂。自身のチャンピオン・カーニバル初出場へと繋げた。先述のTAJIRIvsスペル・クレイジーvs黒潮“イケメン”二郎では、旧知の仲であるTAJIRIとクレイジーが、黒潮にWのチョップ攻撃。これに対して、ジャケットを前後逆に着て防ごうとしていた黒潮も、さすがであった……。

“ゴールデン・シャワー”が炸裂?


 さて今回のIWGP戦。注目はやはり、ケニーと飯伏であり、ズバリ、この2人の合体技が観られるのではないか?そういえば、2014年5月3日、NOAHにおいて、丸藤vsKENTAvsシェイン・ヘイストという3WAYが組まれ、KENTAが勝利。すると、KENTAはマイクで言った。「丸藤さん、俺の隣に立ってくれませんか?」実はKENTAはこの3日前の4月30日に、NOAHとの契約を終了。5月17日が、NOAHでの(WWE行き前の)ラストマッチになっていた。丸藤を含んだ3WAYWを制したことでこの発言となり、丸藤も渡米前最後の“丸KENタッグ”を快諾したのだった。

 今回のIWGP戦も、ケニーと飯伏の間で決まるとは考えにくいのではないか?よしんば、もしそうだとしても、それは正式な決着ではない。同試合が、2人の常時タッグ編成を呼び込むのか、それとも、新たなライバル・ストーリーに繋がるのか、注目したい。Codyに攻め込まれた飯伏を、もしケニーが助けたら?Codyに攻め込まれたケニーを、もし飯伏が助けたら?考えると、無限の可能性が広がるカードだろう。

 新たな、プロレスならではの楽しみを、ぜひ享受したい。


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この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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