2018/7/23 10:14

マサ斎藤と「グッドコンディションとグッドハート」【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】

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マサ斎藤と「グッドコンディションとグッドハート」【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】
5.0

マサ斎藤さん唯一の自伝、『プロレス「監獄固め」血風録―アメリカを制覇した大和魂』(1999年2月10日、講談社)。ここには警察官を正当防衛でタックルし、しまいにはブン投げてしまい1年余り監獄生活を送ったような豪快な逸話はもちろん、2018年現在の僕らが読んでも頷けるマサ哲学が詰まっている。

どんなに日本国内でメジャーぶり、ふんぞり返っていても、欧米人から見たら日本人はインディーズであること。だから銃口を向けられたら弱気になって逃げるよりタックルしたほうがいいということ。

サンフランシスコの日本食レストランで食事中、拳銃を持った強盗に遭遇し、タックルした上に渾身のスープレックスでコンクリートの床にたたきつけKO。相棒の強盗が駆け付けた際にはボンネットに放り投げて再びKO。翌日ニュース番組を見たら、過去5回強盗を成功させていたヤバいくらいの指名手配だったこと。

その他、シュート論、マサさん元祖アルティメット試合で相手のめんたま引っこ抜き伝説、尻軽の南部女伝説。これらももちろんチャレンジング魂の表れで何度読み返しても面白いのだが、根幹をなすのはマサ斎藤道ともいえる生き様であり人生訓だ。

 逃げ場がなければ命懸けでやるしかない。(中略)シュートファイトで目玉をくり抜いたり、正真正銘のでかい熊と試合をしたこともある。(中略)日本人はイエス、ノーがはっきりしない……なんてわけ知り顔でほざくやつがいるがふざけるなだ。相手にプロと見込まれてリクエストされたことには、すべてイエスだ。そして必ず期待にそう結果を出すこと。そうしなければ、すぐに居場所はなくなる。俺は生きてきたのは、つまりそんな世界だ。(『プロレス「監獄固め」血風録―アメリカを制覇した大和魂』41頁)
危険と鉢合わせたら、逃げろ。嫌なことが起こったら、見過ごせ。昨今の風潮ではそんなことがスタンダードとされているが、満足いく自分を持ちたいなら正面からぶち当たれ、つまるところ「GO FOR BROKE(当たって砕けろ)」だと教えてくれる。マサさんの滑らかな発音だと「ゴー・フォー・ブロック」であったばかりに、ブロック塀に当たって砕けろという意味だと思った小学生の僕だけれど、ナイフを持った不良や拳銃を持った強盗をスープレックスでアスファルトに沈めていた事実を知った今では「それはそれで間違ってなかった」と思う今日この頃。そして著書ではこんなことも述べている。

 俺は新日本プロレスだけが最高とは思わない。プロレスを愛し、真剣にプロレスに取り組んでいるやつは、みんな仲間だと思っている。
 くだらない足の引っ張り合いや中傷合戦なんかやる暇があったら、みんなで明日のプロレス界を、もっと良くすることを考えようじゃないか。
 小さな島国で限られたなわばりを争っている間に、巨大資本のアメリカンプロレスは世界に飛び出している。そのことを、みんなもっと真剣に見つめてほしい。プロレスは国際的なスポーツエンターテインメントになれるんだ。
 アメリカが仕掛けているビジネスのシュートを甘く見ていたら、俺たちに明日はない。(同57頁)
新日本プロレス解説者という立ち位置だった当時ながら、まるで2018年の未来を予測するような発言だ。マサさん、新日本も今、世界に戦いに出てますよ。

 人生これからだって何があるかわからない。いくつになっても俺のモットーは「GO FOR BROKE(当たって砕けろ)」だ。その気持ちがあるから、性懲りもなく三回も結婚できるってもんだ。失敗を恐れず、前を向いて行こうって具合にな。(同297頁)
戒名は「マサ斎藤」。前例がないことなど恐れずに、己を貫く。まさにマサさんらしい「GO FOR BROKE」な戒名だ。当たって砕けろ。砕けないための心がけが、グッドコンディションとグッドハート。カッコ悪くったって、他人から何と言われようと、自分の中のグッドコンディションとグッドハートを曲げなければきっときっと大丈夫。落ち込みそうになった時、悩んだときには、マサさんが愛したカルピス片手に、これらの言葉を思い出すのだ。

この記事を書いたライター: 漁師JJ

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