2018/6/17 11:49

猪木の負けを喜んでいた?幻に終わった橋本との新・合体技!引退・小川直也特集!

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猪木の負けを喜んでいた?幻に終わった橋本との新・合体技!引退・小川直也特集!
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6月11日、正式発表


 来年、終わりを告げようとしている、平成という時代。プロレス界で初めての東京ドーム大会が、その幕開けとなる平成元年(1989年)に行われたと思うと、これまた感慨も深い。新日本プロレスの興行で、メインは猪木vsソ連(当時)の柔道家、ショータ・チョチョシビリの異種格闘技戦だったが、結果は猪木が(異種格闘技戦で)初の敗退。集まった5万3800人の観客は声を失ったが、生観戦する中には、これを喜んでいる男もいた。「柔道が勝って、良かったなあ、と」そう言っていた男がそれから8年後には同じ東京ドームのメインでプロレスラー・デビューするのだから、人生というのはわからない。

 そんな小川直也が、プロデビューから21年目にして、この度、プロレス、及び総合格闘技からの引退を表明した。大変手前味噌ながら、筆者が初めて個人インタビューしたレスラーも小川であり、それも掲載誌は現在も人気の情報誌「YOKOHOKAウォーカー」(KADOKAWA)だった。その手の雑誌でも単体でインタビューが載るほどの存在だったということであり、やはり、引退となると感じ入るものがある。

 今回の当欄は、「引退・小川直也」として、お送りしたい。

成人男性の平均肺活量は約4000ccだが……。


 早くも唐突だが、“ギネス記録を持っているプロレスラー”というのは、何人かいる。例えば、アンドレ・ザ・ジャイアントは「世界一稼ぐプロレスラー」(1974年。約40万ドル ※当時、約1億2千万円)として認定されているし、モハメッド・アリは、プロレスラー、アントニオ猪木と戦ったことで、“一晩に最も稼いだ男”(約18憶円)として76年に認定された。

 そして、実は小川も、このギネス記録を持っているのだ。認定項目は、「柔道世界選手権無差別級最多優勝」(4度)。本人の預かり知らぬところで認定されていたようだが、因みに、世界選手権の最年少優勝記録(19歳)も一時期、持っていた。バックボーンの柔道での凄さを語るには、これで十分だろう。

 柔道を始めたのが高校からにも関わらずこの実績。恵まれた体躯や、猛練習もあるが、興味深いのはその肺活量。なんと8000ccもあったという。これによる心肺機能の高まりゆえか、小川の柔道は“バテ知らず”。試合で息が上がったことはなく、一日で何戦もこなさなきゃならない柔道向きだったと言える。

 かような実力者ながら、五輪とは相性悪く。1988年のソウル五輪では無差別級が廃止され、92年のバルセロナ五輪は銀メダル、1996年のアトランタ五輪は5位に終わった。しかし、無差別級最強者だったのは先に述べた通りで、それゆえ、1996年、当時所属のJRAでの柔道引退会見の際は、「これ以上続けても学ぶことがあるのかな?」という言葉とともに、こんなコメントを残している。「現役の10年間は、ずっと自分との戦いでした。競い合うような人がいたなら、もう少し出来ていたのかも」

 そんな“ライバル不在”の悩みは、1997年4月のプロレスラー転向時から解消された。そう、橋本真也の存在である。

橋本との通算対戦成績は、3勝1敗1無効試合も……。


 実はこの9年前、1988年に、既に会っていた橋本と小川。同年末、ソ連人レスラーの発掘に同国に出向いた猪木に橋本が同行。ちょうどその時期、小川も世界学生柔道で同地に遠征していたのだ。猪木を訪問を受け、激励された小川を、橋本が羨望の眼差しで眺めていたという情報がある。因みに、猪木はこの時期から小川にほれ込んでおり、帰国すると坂口征二に、「いいのを見つけたからウチ(新日本プロレス)に引っ張ろう」と提言。小川と同じく、元明治大学柔道部の坂口の返答は、「彼はオリンピックを控えてるんだから、やめて下さい!」だったとか。なお、冒頭の東京ドーム大会も猪木が招待したものだが、にも関わらず柔道の勝利を喜ぶのだから、小川も筋金入りの柔道家だった。

 柔道引退を機に、小川は坂口、そして改めて猪木と会談。猪木の、「夢や目標がなければ、人は老いていくだけ。そして、君は夢が見せられる人だよ」という言葉に惹かれ、プロレス入り。「1試合1億円を稼げる選手になる」と述べたりもしたが、既にこの時期、猪木から、「プロは吠えてナンボ」との薫陶を受けていた。ついでながら、デビュー戦のファイトマネーは1千万円。当時の企画宣伝部長・永島勝司氏の談だが、90年代、新日本に上がった選手の中では、1番高かったとか。

 デビュー戦の相手は、まさに橋本真也。そのキックを受けた瞬間、「プロレス、辞めたい」と思ったという。しかし勝利し、学んだことがあった。「相手は掴みにくい」「キックの軌道は読めない」「リングは意外と狭い」、それ以上に、(大外刈りを変形させたSTOなど、)「柔道技は通用する」ということだった。以降、小川は格闘ファイターとしての道を歩んで行く。98年4月4日、猪木の引退試合挑戦者決定トーナメントを、後一歩で制せず、一念発起。猪木も実行していたファスティングダイエットを実践し、130㎏から15㎏もの減量に成功。同時にパンチ、キックに磨きをかけ、トータル・ファイターへと変貌を遂げ、99年1月4日には、橋本を暴走ファイトでKO。2人の抗争は本格化する。同年10月11日の復讐戦は、リングサイドの猪木に「俺個人としては10万円払っても惜しくない試合だった」と言わしめ、2000年4月7日の再戦は、テレビ朝日のゴールデンタイム枠で生中継。結局、橋本は暴走事件後、小川に連敗したが、ゴールデン中継の平均視聴率は15.7%を記録。確か過ぎるインパクトを世間に残したのだった。

 抗争の最中から、互いに電話で話すこともあったようで、それこそ、「闘いを通じた絆」で結ばれていった2人。特に、橋本が猪木から離れ、自団体『ZERO-ONE』を稼働させてからは急接近。「プロレス界を盛り上げるため」、タッグ、OH砲を結成。「刈龍怒」(STO+水面蹴り)、「俺ごと刈れ」(STO+ジャーマンスープレックス)など、ユニークな合体技でも知られるが、実はこれ、両方とも小川の発案だったとか。そう、余りこの視点で語られることがないが、小川は元より、大のプロレス好きだった。

「みんなが小川のことを下手だとか言うけど、俺は素晴らしいと思った」(川田)


 子供の頃は、『ワールドプロレスリング』も、金曜夜8時放送の黄金時代。「ビデオもなかったし、観ないと翌日の話題についていけなかった」と語る。一番印象にあるのは、猪木vsハルク・ホーガンでの失神事件だとか(1983年6月2日)。

 前記の合体技の概形も小川のアイデアによるものだが、「刈龍怒」の技名は橋本によるもの。何を隠そう、名前の方が先に出来ており、技は後から出来たというから、なんともな迷コンビだ。「俺ごと刈れ」は、仕掛ける際、橋本が「刈れ~!」と叫んだことからの命名だが、最初に披露した際、橋本は頭を打ち、脳震盪になったとか。そういえば、DDTを仕掛けようとする橋本に、小川がSTOをかける合体技「俺ごとDDT」も練習で披露していたが……陽の目を見なくて良かった!?

 また、知られざる逸話だが、デビュー2年目の時、自ら大仁田戦を画策したことが。だが、猪木に相談し、猛反対されたことで未遂に。同じく、小橋との一騎打ちというアイデアを持ち出したことがあったが(東京スポーツのアンケートで、『小橋と対戦させたい相手』の1位になったため)、こちらも猪木が快い反応を示さず、幻に。そして、読者が知るように、2000年代前半、総合格闘技の道へ入って行った小川。その最後のピークとなった吉田秀彦戦(2005年12月31日)では、ご存じのように、同年7月に永眠した橋本真也のテーマ曲で入場。しかし、試合後、もう1つ、銘記したいシーンがあった。

 吉田の関節技で左足首を骨折しながらも戦い抜いた小川。最後は腕ひしぎ逆十字固めの前に完敗したが、小川の足の異変に気付いたセコンドが、リング下に車椅子を用意した。だが、花道を歩いて帰って行った小川。控室で、こう言ったという。「プロレスラーが、車椅子なんて、乗ってられるか!」

 一連の橋本戦はもちろん、もう一つの名勝負として、川田利明戦をあげておきたい(2003年12月14日・結果は両者リングアウトの後、延長戦の末、両者KO)。同年のプロレス大賞で、あの三沢vs小橋(2003年3月1日)に次ぐ得票を集めたベストバウトだった。

 今後は、『小川道場』で後進の柔道家を育てることに専心する小川。同道場には、「本当は嫌なんだけど(苦笑)」、教え子たちの士気にも繋がるため、獲得したトロフィーやメダルがガラスケースに飾られているが、中央に、空いた場所がある。「頂点じゃなく、銀メダルで終わったから、ここまで続けられたと言えるよね」と、後のプロレスラー人生を振り返った小川は、教え子が金メダルで空白の場所を埋めるのを、楽しみにしている。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

コメント

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  • 彼も、橋本、藤田、永田たちと一緒で時代に翻弄された1人でしたね。時代というか猪木か…。
    お疲れ様でした!

    ID:7469442 [通報]
    (2018/6/17 16:38)
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  • プロレス好きなら、なぜ勝ち逃げかましたのか?
    小川と絡んで得したやつは1人もいない。

    ID:2107967 [通報]
    (2018/6/17 22:52)
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  • 猪木がどれだけファンをがっかりさせたか分かるね。ちょっとだけだけど。

    ID:7583366 [通報]
    (2018/6/30 17:50)
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