2017/9/30 13:19

木谷オーナーの、新日本救済の真意!選手の移動にヘリコプターの、あのバブル団体!DDT・サイバーエージェントグループ入り記念!「プロレス・オーナー列伝」

閲覧数:16140

木谷オーナーの、新日本救済の真意!選手の移動にヘリコプターの、あのバブル団体!DDT・サイバーエージェントグループ入り記念!「プロレス・オーナー列伝」
4.5
最新のコメントに移動

話を持ちかけたのは、高木三四郎から。


 さる9月22日、衝撃の発表がなされた。DDTが発行済み株式の100%を株式会社サイバーエージェントに譲渡。サイバーエージェント・グループの一員となったのだ。

 いわば同社の子会社となったDDT。とはいえ、雰囲気は明るい。同グループの運営する無料インターネットTV「AbemaTV」での定期放送が見込まれるためだ。また、同社の藤田晋社長も、「ファンの皆様にご安心頂きたいのは、DDTのプロレスを変えるつもりはまったくございません」と、ソフト面での一任を確約。それどころか、藤田社長自身、プロレスに興味はなかったというが、「今年の夏、初めてビアガーデン・プロレスを観させて頂き、終始あっけにとられ、非常に楽しく」、「路上プロレスをたまたま観て、これは『AbemaTV』向きだと感じた」とか!

「子会社化」というと、その言葉尻から、矮小化の一種と捉えられる向きもあるが、こと、近年のプロレス界について言えば、これ以上ないプラスのシナジー効果を生んでいる印象が強い。今回の当欄は、「プロレスを買った男たち」と題し、団体の子会社化の歴史、並びに、これまでの団体オーナーたちの素顔に切り込みたい。

「冷蔵庫だけでワンフロアあった、田中八郎邸」(by武藤敬司・2015年取材時)


 先ず、当時は“黒船”と恐れられた、株式会社メガネスーパーが作った団体、SWSから。60億円とも言われる資金を用意し、全日本プロレスから移籍した天龍をエースに1990年、船出したが、3年持たずに解散。専門誌が同団体を「金権プロレス」として一方的に揶揄したのが一因だが、一部レスラーたちのコンディション不足も明らかで、文字通り、金持って肥ゆるという体型になっていた。マスコミの揶揄がなくとも、団体としての人気を得られたかは今思うと非常に疑問である。それなのに盛り立てなきゃいけないエース&同団体社長(2代目)、天龍の、「(SWS時代、)一番たまったのは、ストレスとネクタイ」との述懐が最も印象に残る。同団体のオーナー・田中八郎(メガネスーパー)社長が、息子のプロレス好きに乗じて作ったという内実もあり、バブル崩壊とともに手を引いた。こう書くと田中社長に血も涙もなく思われるかもだが、SWSに使った金額は、「99億円」(ザ・グレート・カブキさん談)という話もあり、やむをえぬ処置だったろう。ただ、田中氏自身に、それほどのプロレス愛があったかどうかは、確かに疑問である。なお、「ヘリコプターで、全国の小学校やビルの屋上に乗り付け、その場で試合をおこなう」という青写真を田中社長は描いていたようで、これは実現したら観てみたかった。

「ユークス」は、谷口行規社長の留学時代の愛称「ユーク」から。


「子会社化」ということで業界を揺るがしたのが、やはり2005年11月のゲーム会社「ユークス」による新日本プロレス買収劇。とはいえ、当時も報道されたが、こちらは、大株主の猪木が別の会社に新日本を売ろうとしていたための救済処置。(別の会社とは、当時あった「猪木事務所」)。以降、藤波に取材しても、蝶野に取材しても、「プロレス人生で、あの時が一番ショックだった……」という声が。彼らにとっては新日本は、その時、一旦終わったという意識が強いようだ。

 とはいえ、「ユークス」が、それこそ冒頭のサイバーエージェント宜しく、新日本プロレスのリング内に指一本触れることなく見守ってくれたのは周囲の通り。オーナーとなった谷口行規・ユークス社長は、実は技術畑の職人肌。なにせ、最初に熱中したおもちゃが、小学校の時、叔父からもらった、電流を測るテスター。電子工作とプログラミングに目覚め、自力でゲーム制作を始める。その理由が、「自分でゲームを作れば、買わずに済むから」。15歳でゲーム会社と月40万円の開発契約を結び、23歳で年収は約1500万円。1995年9月発売の自身、最初のプロレスゲーム「闘魂列伝」がヒットし、シリーズ累計販売100万本を超え、2001年、ナスダックジャパン上場を果たしたのだった。

 ところで、谷口社長のゲームソフト開発上の信念は、「人の心を動かすソフトである」こと。「プロレスゲームは、感情移入出来て、(ゲームキャラクターも)喜怒哀楽を出しやすい」という利点から開発したという。もちろん、本人は大のプロレスファン。まだ、同企業がマンションの1室にあったとき、藤波辰爾の訪問を受けている。藤波も「まさか、あの時の子が……」と、相当、驚いたようだ。

全選手のサインが入った「G1」パンフレットの行き先。


 そして、それ以上のプロレス愛に満ちているのが、現・新日本プロレスオーナーである木谷高明・ブシロード社長。2012年、新日本プロレスを買った同氏は、強力な広報戦略に出る。自社のテレビ番組やCMに連日のように選手たちを出演させるのは勿論、果ては広報費3億円をかけ、ラッピングバスはおろか、G1ではラッピング山手線まで。

「広告費かけすぎ」「流行ってる感、仕立て過ぎだろ」「ステマだろ、いわゆる」。そんなネットの白眼視もあった木谷氏。それでも思い出すのは、買収当時の、ある出来事だったという。

「木谷さん、プロレス、買ったんですって?」

「ええ」

「実は僕、プロレス大好きなんですよ」

「ええっ?!」

「そんなに驚かなくても(笑)」

「だって、あなたとは5年も一緒に仕事してるのに、そんなこと初めて知りましたよ!」

 その後も木谷氏に寄せられる社内外から寄せられる、数々の電話、メール、反応。

「黙ってましたけど、ずっと週プロ買ってるんですよ」

(10年も付き合いがあるのに?!)

「初めて言いますけど、実は私もプロレスファンなんです」

(15年も一緒に仕事してるのに!?)

「必要なのは、きっかけだ」と、木谷氏は痛感したという。

「ステマで結構。流行ってる感の演出?いいじゃないですか。ポスターを見て、『あれ?G1ってまだやってるんだ』。それでいいんです。『俺が見た時は、蝶野の優勝で座布団が飛んで……。そうだ、久々に、ちょっと観に行ってみようかな?』そんな会話だけでも生まれてくれれば。総合格闘技ブームで、ファンはプロレスが好きだといいにくい状況になってしまった。だから、例えこちらがお金をかけてでも、その背中を押してあげることが出来れば……」

 勉学に勤しんだ高校時代、「プロレスを観ることしか趣味がなかった」とし、週プロ、ゴング、ファイトを毎週買っていた木谷氏。観客としての一番の思い出は、1990年2月の東京ドーム大会で、会場にウェーブが自然発生したこと。

 仕事で実績を上げ、新日本の顧問弁護士と仲良くなった。酒を酌み交わし、こんな会話をした。

「司法試験の勉強をしてた時は、俺、プロレスだけが心の支えでね」

「僕も。プロレスって、不遇な時代を支えてくれるんですよね……」

 だが、PRIDEブームの際でも、「プロレスの方が上なんだ!」と力説していた彼は、2010年の夏、若くして逝去。

「余り言ってないことだけど、彼への弔いの意味もある」と、新日本建て直しに邁進する木谷氏。

「『観ててくれよ。必ず新日本を、世界一の団体にしてみせるから!』って」

 亡くなった彼の墓前に捧げたのは、参加全選手のサインが入った、「G1」のパンフレットだったという。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

コメント

最新のコメントに移動
  • プロレスは色々な人達の想いで出来てますね。日本のプロレスは世界一だと胸を張って応援し続けたいです。
    特に新日本とDDTは大きな資本も入り業界を引っ張ってほしいです。

    ID:5221599 [通報]
    (2017/9/30 19:25)
    0 0
    賛成:0% / 反対:0%

    Loading...


  • 案外、WWEにとって最大の脅威になるのはDDTか?

    ID:2107967 [通報]
    (2017/9/30 23:08)
    0 0
    賛成:0% / 反対:0%

    Loading...


  • 新日のサイトにて元選手の井上亘氏のコラムで紹介されてましたが、以前ブシロードから社長として出向されていた手塚氏は仕事終わりに井上氏とハードなトレーニングを行っていき、プロレスラーはこの数倍もトレーニングを日々行ってるのかとそれまでプロレスは門外漢だったながらも積極的に現場への理解とリスペクトを深めてくれていた姿勢に感銘を受けました。

    ID:880655 [通報]
    (2017/9/30 23:19)
    0 0
    賛成:0% / 反対:0%

    Loading...


  • SWSも良い選手いたんだけどあれだけ金あると利権をめぐって仲違いしちゃうのは目に見えてるわな
    U組も引き抜いてたら流れが変わってたんだろうけど残念

    ID:5134073 [通報]
    (2017/10/1 0:30)
    0 0
    賛成:0% / 反対:0%

    Loading...


  • 今の時代、プロレスに参入・独立するなら、「所属は少数精鋭で、1ヶ月1シーズンで、ライバルを次々と倒していき、最強ユニットを目指す。」みたいな舞台仕立ての方がいいと思う。
    正規軍と抵抗軍の両方抱えて団体経営するより成功しそう。

    ID:2107967 [通報]
    (2017/10/9 0:44)
    0 0
    賛成:0% / 反対:0%

    Loading...


おすすめ記事

新しいコメントを投稿する

 [PCから画像ファイルをアップロード]

関連付けられたタグ

なし
[タグを付ける]

<< 一覧に戻る

プロレスが好きな人はフォロー!
「ぼくらのプロレス」ならではの情報をお届けします。