2017/9/20 16:53
一体感だけではない、幸せな空間を作り出すこと。棚橋弘至だけが持つ才能
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9月16日に行われた新日本プロレスDESTRUCTION in HIROSHIMAのメインイベントで、棚橋弘至とザック・セイバーJr.によるIWGPインターコンチネンタル選手権試合が行われた。
G1 CLIMAX開幕戦、そして最終日のタッグマッチでそれぞれザック・セイバーJr..からギブアップ負けを喫していた棚橋弘至。
ザック・セイバーJr.も自身こそIWGPインターコンチネンタル王座の挑戦者に相応しいとアピール。
ベルトを賭けて勝利しなければ王者としての説得力が無くなるというシチュエーションで二人は対峙した。
ザック・セイバーJr.は知っての通りキャッチ・アズ・キャッチ・キャンとブラジリアン柔術の使い手という、グラウンドとサブミッションに特化した選手でありながら、打撃技も得意としている。
体重85kgでヘビー級戦線に挑むために自身の武器を最大限に活かす戦い方を知っている選手だ。
対する棚橋弘至は現在も今年の6月に負った右上腕二頭筋腱遠位断裂という負傷が完治していないのか、サポーターが外れることがない。
寝技の中でもアームバーをフィニッシュホールドに持つザック・セイバーJr.を相手にするには不利な状況であった。
そして二人が見せたのはここ数年の新日本プロレスでは見られなかった、濃密なグラウンドの攻防に特化した30分を超える攻防であった。
試合前のコメントで「相手の土俵に立って戦った上で勝つ」と宣言していた通り、棚橋弘至は徹底してザック・セイバーJr.の寝技に付き合う姿勢を見せた。
驚かされたのは試合開始から10分もの間、返し技以外の打撃が相手に対して繰り出されなかったこと。
解説席の真壁刀義が話していた通り、棚橋弘至が見せたのは新日本プロレスの道場で若手時代に培ってきた技術。
それはザック・セイバーJr.と五分の勝負ができるもの。
もちろん攻めるポイントを複数見つけることが得意なザック・セイバーJr.がリードしているのはわかる。
しかし、棚橋弘至はしっかりとそれに対応し、極めさせることなく自身の得意なパターンに持ち込もうとする。
このグラウンドの攻防の中、観客の歓声が途切れることがなかった。
それを生み出したのは、この日の興行が非常にバランスのいい試合内容で構成されたことにも起因するだろう。
第1試合から天山広吉&獣神サンダー・ライガー&タイガーマスクvs後藤洋央紀&YOSHI-HASHI&邪道でスタートしており、この試合で早くも雪崩式ブレーンバスターが繰り出されるなど、派手な開幕試合となった。
また、ヤングライオン勢の試合も組まれなかったため、第7試合までグラウンドによる攻防はほとんど見られなかった。
メインイベントが棚橋弘至vsザック・セイバーJr.なのだから、グラウンドで魅せるのは二人に任せてよい、ということなのだろう。
第1試合から見ていて、少し飛ばし気味な大会という印象があったが、メインイベントの内容で納得がいった。
これで前半戦に長い寝技のやり取りが行われていたとしたら、メインイベントの新鮮味が薄れてしまうし、グラウンドの攻防は集中して見る必要があるため、観客が疲れてしまう。
新日本プロレスのこういったバランス感覚には感服してしまった。
鈴木軍の乱入、マイケル・エルガンによる救出劇が一見地味と受け取られかねない試合内容のスパイスとなり、棚橋弘至のサポーターが外され、テーピングが剥がされ、ザック・セイバーJr.のフィニッシャーであるジム・ブレイクス・アーム・バーが極められた時には防衛失敗か、という考えすら頭をよぎった。
実際、鈴木軍の乱入で柴田勝頼はベルトを落としており、ザック・セイバーJr.にも十分に勝機はあった。
しかし、棚橋弘至はツイスト・アンド・シャウトの3連発から正調式のハイフライフローを決め、3カウントを奪ってみせた。
相手の土俵で戦い、自身のフィニッシャーで試合を決める。文句のつけようがない試合。
特筆したいのは、この試合で頭から落とす投げ技が棚橋弘至がトップロープに相手の脚をかけた状態で放つネックツイストを失敗した以外、一度も放たれなかったことだ。
危険な技の応酬、カウント2.9の応酬に異を唱えてきた棚橋弘至は、ザック・セイバーJr.となら、そういった風潮にアンチテーゼを投げかけられるのではと考えたのかもしれない。
そう思えるくらい、昨今の新日本プロレスのメインイベントとは一線を画す試合内容であった。
ベルトを持っているだけでは新日本プロレスの中心に戻ることはできない。
棚橋弘至は今回の試合で、実力だけでリングの中心にカムバックしてみせた。
棚橋弘至がメインイベントを締める興行は、内藤哲也が締める興行とは異なる雰囲気に包まれる。
一体感だけではない、幸せな空間を作り出すこと。それは今をもってオカダ・カズチカも、内藤哲也も持ちえない棚橋弘至だけの才能である。
さらに棚橋弘至が提唱するIWGPインターコンチネンタル王座のテーマ通り、G1 CLIMAXで敗戦した飯伏幸太との再戦も約束された。
IWGPヘビー級王座と異なり、鉄を熱い打ちに、打ちたい時に打つ、というのはかつての持ち主と同じ魅力に溢れている。
かつての盟友から託されたIWGPインターコンチネンタル王座という宿題は、2年の歳月を経て棚橋弘至によって果たされようとしている。
コメント
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棚橋のビッグイベントでのエンディングパフォーマンスはとてもハッピーエンドで快適。
まだまだ何度も観たい。
本流は内藤・オカダ・ケニーに任せて、インターコンチで独自路線を進んで欲しい。
(2017/9/21 5:41)
棚橋には頑張ってほしい。
最近腕の怪我で体に絞まりがなくなってきたのは心配だけど、まだまだ意地を見せてほしいな。
オカダ、内藤に負けない強さをやりたいプロレスで取り戻してくれ!
(2017/9/21 12:34)
次、飯伏が勝ってドームでケニーと統一戦やるとかやらないとか…
(2017/9/21 20:04)
飯伏が獲ってケニーと統一戦?
それは無いかと思ってみると、逆に棚橋に負けたばかりの飯伏がドームでケニーに挑戦ってのも無いか。
ということはドームでケニー対飯伏の可能性は限りなくゼロ?
(2017/9/21 23:51)
次も棚橋に勝ってほしい。まだまだ最前線で闘っていてほしい。
が、防衛したとして1.4はどうなるのだろう。
G1で棚橋を負かした3人のうち、あと一人は…内藤…
去年の離脱前のリベンジでケニーとICかな…ビッグマッチだとCODY来るかな…
絶対無いとは思うけど、、ここで柴田の復帰戦とかになったら涙が止まらない。
(2017/9/22 11:14)
柴田の件は本当に勿体無いですね。
(2017/9/22 18:05)
棚橋のドームの相手がもしも中邑だったら、メインはどっちになるんでしょうね。
(2017/9/22 18:08)
ザック戦はじっくりとした攻防だけどお互いの技術が素晴らしく、物凄く見応えのある試合でした。こういうプロレスも出来るのが棚橋選手の素晴らしさだと思います。
ザックの評価もまた高くなったなあ…と。
次は伊伏戦でまた楽しみです。
白いベルトを棚橋色に染められるか?が見どころになるのかな?
まだまだ棚橋は中心にいるべきレスラーです!
(2017/9/22 18:26)
WWEだと、フルタイムのトップグループが本流にいて、レジェンドはシーズン毎に入れ替わりで合流しているように見えます。
トップグループからレジェンドを自然に一歩引かせて、かつ大事に長く使え、かつ希少価値もでてビッグイベントのアクセントになるいいシステムだと思ってます。
新日も巨大団体になったので、いつも全員出場体制から転換すべきです。
(2017/9/22 22:16)
棚橋はとても価値があるレジェンドです。
長く観たい。
だけど太陽が徐々に沈んでいくのをフルタイムで観たくない。
(2017/9/22 22:23)
棚橋弘至
(2021/1/2 20:55)
仙台放送
横田亜美
(2021/1/2 20:58)
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田中由姫
(2021/1/2 20:58)
日本テレビ
宮沢澄也 田中あさみ
(2021/1/2 20:59)
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大石芽依
(2021/1/2 20:59)
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成山裕治
(2021/1/2 21:03)
新免誠也
(2021/1/2 21:06)
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(2021/1/2 21:08)
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(2021/1/2 21:08)
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古郷幹彦
(2021/1/2 21:09)
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