2017/2/9 10:11

魔法は既に解けている。シンデレラボーイになり損ねたヨシタツは、全てに置き去りにされてしまうのか

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魔法は既に解けている。シンデレラボーイになり損ねたヨシタツは、全てに置き去りにされてしまうのか
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2000年代前半の新日本プロレスファンなら、2014年10月13日にヨシタツというプロレスラーが凱旋帰国した時、あの若手だった山本尚史が大きく成長して帰ってきたと期待したはずだ。

2002年3月に新日本プロレスへ入門した山本尚史の同期には、現在WWE NXTに所属する中邑真輔を始め、田口隆祐、後藤洋央紀という錚々たるメンバーがいた。
特に中邑真輔は新日本プロレスに入門する以前からMMAのトレーニングを積んでいたこともあり、アントニオ猪木の秘蔵っこ扱いを受けたのか、IWGPヘビー級王座も戴冠した安田忠夫と日本武道館でデビュー戦を行っている。
本人に自覚は無くとも、シリーズに帯同せずに当時存在したロサンゼルス道場にトレーニングに出発する等、普通のヤングライオンとは異なる道を進んでいた。

一方、山本尚史は一介の若手選手としてヤングライオン時代を過ごし、同期の中邑真輔がデビュー2年目でIWGPヘビー級王者まで上り詰める中、IWGPヘビー級タッグはおろか、2年連続で出場したヤングライオン杯で優勝することすらできずにいた。
それでも山本尚史は腐らなかった。
ミスターバックドロップと呼ばれていた後藤達俊から必殺技のバックドロップを伝授されると、若手の有望株として頭角を現し始める。
2006年に入ると永田裕志が師匠となり、師弟タッグでIWGPヘビー級タッグ王座への挑戦。
さらに当時団体対抗戦を行っていたZERO1-MAXの崔リョウジと抗争を繰り広げた。
だが、この時点で筆者は山本尚史のレスリングスタイルに疑問を持つようになっていた。
山本尚史のバックボーンはレスリング、ボクシング、フリースタイルの柔術。
しかし、山本尚史が試合を組み立てるために選んだ技はキックであった。
必殺技のバッグドロップは相手の首や頭部にダメージを与える技なのに、ミドルキックを連発するスタイル。
せっかく綺麗なフォームで放つバックドロップも、唐突な印象を受けてしまうのだった。

そして2007年。
既に同郷の先輩だった棚橋弘至はIWGPヘビー級王者を経験し、団体のエースとしての片鱗を見せ始め、中邑真輔は自身のスタイルが定まらず、苦しみながらもトップ戦線で起用され続けていた時期に山本尚史は海外遠征に出発する。
この海外遠征が山本尚史をヨシタツへと変えるきっかけとなった。
2008年に日本に一時帰国し、新日本プロレスを退団。
この退団は非常に前向きな退団であり、本人の口からも「棚橋弘至と中邑真輔を超えるための退団である」という言葉が聞かれた。
新日本プロレス退団後はWWEのトライアウトに合格し、ディベロップメント契約を締結。
日本人選手として初めて育成選手からWWEとの正式契約を結ぶことに成功する。

WWEでのヨシタツは育成団体のFCWと、新人選手をデビューさせる場となっていたECWというブランドを行き来することが多かったものの、しっかりストーリーラインを用意されていたし、2009年に行われたクリスチャンとのWWE ECW王座戦は同年のベストバウト25選で22位にランクイン。
現在も一軍であるWWE RAWにも進出し、Royal Rumble 2010にも出場。
さらにWWEの年間最大イベントであるWrestleManiaのダークマッチとして行われたバトルロイヤルでは、アントニオ猪木に次ぐ形で日本人としては史上2人目となる優勝を果たした。
このままWWEでの活躍が続いていれば、本当にシンデレラボーイとしての凱旋が果たせたかもしれないが、残念ながら、2014年にWWEを解雇されてしまう。

その後はご存知の通り、WWEを参考に好調の兆しを見せ始めていた新日本プロレスに凱旋帰国。
海外修行に出発する前は手も届かない存在だった棚橋弘至をBULLET CLUBから救出するという、非常に期待された登場であった。
しかし、運命はヨシタツを翻弄し、AJスタイルズのスタイルズクラッシュの受身に失敗したことで、首の骨を粉砕骨折。
新日本プロレスに復帰して1ヶ月も経たない内に、約1年半に渡る欠場に入ってしまった。
さらに不運は続いており、自身の首を破壊したAJスタイルズが怪我からの復帰前に、ヨシタツの古巣であるWWEに移籍。
宿命の相手となるはずだったAJスタイルズを失ったため、新日本プロレスに復帰した直後に掲げた対BULLET CLUB用のユニット「HUNTER CLUB」の存在意義も薄れていく。
何よりBULLET CLUBは既に新日本プロレスファンから愛されており、ファンからの後押しも望めない。
元WWEのスーパースターという魔法は、この時解けてしまったのだと思う。

そして現在である。
新日本プロレスファンからも、同期や先輩選手からも辛らつな言葉を浴びせられ、八方塞になりつつある、というのがヨシタツに対する筆者の率直な印象だ。
新日本プロレスにほとんどレギュラーで参戦しているものの、契約上はフリーの立場であり、いつお役御免となるかわからない。

筆者としては、ヨシタツはここ1年で2回のチャンスを逃してしまったように思える。
1度目はキャプテン・ニュージャパンのHUNTER CLUB加入問題の時。
2人ともシリアスな試合の評価は芳しくないものの、キャプテン・ニュージャパンはコメディリリーフとして十分機能していたし、ヨシタツもWWEではゴールダストとコメディチックなストーリーラインを組まれていた。
そんな2人がタッグを組んで、いつかIWGPヘビー級タッグに挑戦する。
そして戴冠するようなことがあれば、それは感動を呼ぶ奇跡の光景になったと思う。

もう1つは同期である後藤洋央紀が、本当に珍しく自身から動いた時だ。
後藤洋央紀はヨシタツとの試合後に「自分が興味があるのはヨシタツではなく、バックドロップを必殺技にしていた山本尚史である」というコメントを出したが、2017年の東京ドーム大会で柴田勝頼とのNEVER無差別級王座戦が決まってしまったことで、お流れになってしまったように思える。
このストーリーが始まらなかったことを筆者としては本当にもったいないと感じている。
現在のヨシタツのキャラクターのモデルは、WWEのトリプルHである。
コスチュームのデザイン、入場時の水吹き。
フィニッシャーも同じくペディグリーを使用しているが、恐れながら断言させてほしい。
筆者の見たいヨシタツのプロレスはトリプルHの物真似ではない。
後藤洋央紀と同じで、バックドロップを必殺技にしていた山本尚史が見たいのだ。

元WWEのスーパースター、ワールドフェイマス。
その二つ名の神通力はとうに失われたのではないか。
であるならば、ヨシタツというキャラクターを吸収した山本尚史のレスリングが見たい。
キックに頼らず、一撃必殺のバックドロップを放つためのプロセスは既に蓄えられているはずだ。

このままでは、かつてのライバルにも、先輩にも、自分より遥かに若いヤングライオンにすら、置き去りにされてしまうように思えてならない。
デビュー当時から見てきたからこそ、そんな山本尚史は見たくないのである。

この記事を書いたライター: シンタロー

コメント

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  • 言われる通りですね。本当にパッとしないんですよね。ペティグリーもフィニッシャーとしての説得力がない。バックドロップもですが、せっかくキレイなキック、特にニールキックとかあるんだからキック系統のフィニッシャーを作ればいいのに…。
    サイン会もあんまり人並んでないし…ちょっとですね。

    ID:5984 [通報]
    (2017/2/9 12:38)
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  • 昨年復活した後のヨシタツしか見たことがない者からは
    ヨシタツ自身が立ち位置を曖昧にしてしまっているように見えます。
    ライターさんの言うとおりWWEでのキャラクターを引きずりすぎて浮いている。
    自分が連れてきたビリー・ガンにも食われる始末……

    ID:2475208 [通報]
    (2017/2/9 13:43)
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  • 随分と慈愛と応援の気持ちで書かれている記事ですが、
    私としては、新日でショボかった奴がWWE行って、(海外で定評がある)日本人レスラーである事を売りにしてチヤホヤされたけど、結局地力が無い分、すぐメッキが剥がれて、落ちぶれて帰って来た所を新日が拾ってあげた・・それ以上でもそれ以下でも無い印象です。
    (新日でBDを必殺技にしていた頃は、試合の組み立ては適当で、受身も下手だったので、試合中盤ですぐヘバって動けなくなっていました。WWEでもヘロヘロで、技も雑でした。)
    後藤達俊のBDだったり、柴田に触発されたキックだったり、あるいはHHHの真似だったり、いくら自分に足し算(=デコレーション)した所で、根幹である精神的部分が甘々なので、どれも薄っぺらいメッキにしかならない。色々手遅れ感。
    彼は今年CMLL送りされる事が、会社の中で検討されている様です。
    そうした方が、新日とヨシタツ、双方にとって良いのでは無いでしょうか。

    ID:2787900 [通報]
    (2017/2/9 16:27)
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  • コンディションも良くなさそうだし、技のミスがまあ多い。元々器用ではないのに器用なレスリングをしようとするクセがある。
    ヨシ・タツだけじゃないけれど、自分が完璧に決められる技だけ使えばいいと思う。あれもこれもだから展開も雑だし唐突な技にはファンも感情移入しないでしょう。
    後藤達俊はプロレス上手いけどラフ殺法とラリアットとバックドロップだけで組み立てられるわけだから、ヨシ・タツもWWEのプライドを捨てて生まれ変わればいいと思う。

    ID:2931011 [通報]
    (2017/2/9 17:14)
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  • ヨシタツのHHH真似とか、飯塚さんのアイアンフィンガーフロムヘルとか、邪道のフレアームーブとか、こうした(実戦的とは違う)ファンムーブをプロの選手にあまりやって欲しくないと思うのは、僕だけでしょうか。

    ID:2787900 [通報]
    (2017/2/9 22:01)
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  • ヨシタツは、本当にパッとしない男だった。アメリカでは人気者だったらしいけど、中邑と比べてキャラクター、頭脳、技など全てスター性が無かった。選手層の厚い新日では、やっていけないんじゃないかなぁ。

    ID:2900628 [通報]
    (2017/2/9 22:10)
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  • ていうか、完全に終わってる。
    ノアでやり直した方がいい。イメージカラーの緑つながりで。でも30代半ば過ぎだし、ノアのレベルにはついてこれないか

    ID:3321 [通報]
    (2017/2/9 23:53)
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  • レベルがついてこれない以前にあわないと思う。ノア自体、レベル低いけど、最前線…丸藤や中嶋、杉浦と並ぶとキツイかな。潮崎はレスリングセンスはどっこいどっこいやけど人気は劣るから…マイバッハぐらいがトントンじゃない?そんなレベルだから新日本では前座でも仕方ないでしょう。キャプテンみたいにコミカルに振り切る程の技量もないしね。

    ID:5984 [通報]
    (2017/2/10 0:27)
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  • 今のヨシタツは他の鳥の羽を着飾ってるカラスでしかない
    今一度立ち止まって自分が何であるか考え直して着飾った羽をむしり取らない限り浮上もクソもない

    ID:2919339 [通報]
    (2017/2/10 14:36)
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  • 正直HHHの真似にはがっかり。コスチュームもDX風だし。アメプロの上っ面パクってどうするんだよ。向こうでHHHやHBKの何たるかを見てきたんじゃないのかよ。
    それにしてもライターさんの分析的確です。キャプテンとのやり取りとか後藤のコメントとか、ハンター"チャンス"は確かにありましたね。

    ID:9644 [通報]
    (2017/2/11 11:42)
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  • 昨日の大阪大会もしょっぱかったですね。第二試合ってのを差し引いても…。パートナーがクシダ、相手はテンコジ。見せ場を作ることもなく7分ちょいで幕。試合後、小島に突っかかっていったけど観客の反応は冷ややか。大会終了後に1人サイン会を開催するも足を止める人はほとんどいないという有り様…自らハンタークラブを結成(一人やけど)してるから他のグループにも入れず…浮上するイメージが湧かないです。

    ID:5984 [通報]
    (2017/2/12 9:02)
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  • 俺が見たかったのはヨシタツじゃなくて山本尚史

    帰国してきた時は大変興奮したもんだ

    んでくだらないケガして長期欠場して
    好きなレスラーだっただけに本当に今の現状が悲しい
    一番辛いのは本人だろうしまだまだ諦めずに頑張ってほしい

    ID:2804232 [通報]
    (2017/2/12 20:22)
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  • 鈴木軍に入るとか無しな……

    ID:2971176 [通報]
    (2017/2/13 20:55)
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  • ヨシタツは一度会場中にブーイングされるほどの、行動を伴った自己主張をすべきだ。
    G1に出れなくてもなにも言わないし、キャプテンをハンタークラブに入れるか入れないかでちんたらちんたら引っ張った挙げ句、中途半端に期間が長いTwitter投票をやったりみみっちいことしかやらない。

    新日凱旋後の大怪我に会社は負い目を感じたのか
    復帰後も試合に出させてるけど……現状ではいずれ居場所がなくなるぞヨシタツ。

    ID:2475208 [通報]
    (2017/2/13 21:59)
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  • 中邑の座っていた椅子に座るチャンスだったが、そこには後輩の内藤が座ってしまった。今の勢いでは、ちょっとやそっとじゃ立たないだろう。ヨシタツも色々あっただろうが、内藤もパートナーの裏切りから長期欠場、長きに渡るパフォーマンスの空回りなど、順風満帆ではなかった。どんなときでも内藤は、誰に何を言われようがブレない信念があったんだろう。それに比べてヨシタツは、新日本に参戦出来たことに甘えていたのではないか。G1にも出れなかったことをマスコミに愚痴らなかったし、パートナーを見つけてタッグ挑戦をアピールもしなかった。アピールもしなきゃ群雄割拠の新日本では埋もれてしまうんだよ。だから本間や石井だって必死にやってんだ。自分が新日本で何をしたいのか、真剣に考えないといけない。今や本間やEVILの方が新日本での格は上だぞ。

    ID:1227735 [通報]
    (2017/2/13 22:45)
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  • トップ戦線で闘うパフォーマンスが
    もうできない状態なのであれば、
    生き様を魅せてほしいです。

    筆者や殿に同感!!!

    ID:940498 [通報]
    (2017/2/15 2:48)
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  • >ノアでやり直した方がいい。
    ノアですら勿体ない。ZERO1かK-DOJOで十分。

    ID:4209298 [通報]
    (2017/8/11 19:01)
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  • HUNTER CLUB自体がBULLET CLUBの二番煎じだからどうしようもない。
    キックもペディグリーも霧吹きも、
    YoshiTatsuには、YoshiTatsuならではと言うものが何もない。
    技がどうこうということではなく、彼にはオリジナリティが全くない。

    元WWEという分不相応なプライドにしがみついているYoshiTatsuだけど、
    彼のことを元WWEなんて思っている人は彼だけしかいないし、
    そもそも日本では元WWEが看板になるわけじゃない。

    YoshiTatsuだろうが山本だろうが関係なく、
    彼自身が何者であるかをリングで示すことが出来なければ
    このまま誰にも意識されることなく消えていくだけだ。

    ID:4843797 [通報]
    (2017/8/22 11:31)
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