2016/7/26 12:09

大怪獣モノに詰められたリスペクトとオマージュ魂【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】

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大怪獣モノに詰められたリスペクトとオマージュ魂【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】
5.0

すべての作品は模倣から生まれる。そもそも全くの「ゼロ」から生まれる芸術などなく、過去の作品の要素を無意識に模倣し、アイディアを組み合わせて出来ている。例えば音楽。例えば漫画。例えば映画。そしてまたプロレスも、先人の築いた技術やパターンがあるからこそ、今があります。

棚橋弘至選手や武藤敬司選手の影響を受け、内藤哲也選手は一時動きをトレースしていたことを公言。いわゆる昭和プロレスを愛する柴田勝頼選手。師匠に天龍源一郎、長州力を持つ石井智宏選手。テリー・ファンクといえばMEN'Sテイオー選手。そしてマグナムTOKYO好きでダンスを完コピできるが故に、キャラを言い渡された平田一喜選手などがその代表例でしょうか。言い渡した側、高木三四郎選手もスティーブ・オースチンオマージュでしたね。

新規のファンにとっては“元ネタ”を探すことも、そのレスラーのルーツを探れるある種の楽しみ。もしかすると素晴らしいレスラーとなる近道は、自分が影響を受けた多くのレスラー要素を取り込むことかも知れません。プラスアルファで自分独自の要素が入れば、それはもうモノマネを超えた独自の存在です。

さて、2016年、一作の映画が公開になりました。その名は『大怪獣モノ』(キングレコード、リバートップ)。プロレスファンには飯伏幸太選手主演映画としておなじみですが、監督が“どうかしてる特撮マニア”として有名な河崎実監督とあって、平成ゴジラ、ウルトラマンレオ、そしてプロレスと、ありとあらゆるリスペクトとオマージュ魂がてんこもり。さらには根底に生身の巨人が怪獣と戦う東宝映画の『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年、本多猪四郎監督)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年、同監督)が流れている。初代『ゴジラ』(1954年、東宝)を監督したことで世界的に知られる本多監督ですが、この2作品は制作するにあたって『フランケンシュタイン』(1931年、米国)を見て参考にしたそうで、リスペクト魂をさらに内封! 飯伏選手を使って監督がやり方ってどんなこと?

河崎 でもフランケンシュタインの(役の)人は、(格闘技は)素人で。今まで、巨大怪獣にまともに蹴り入れるといった映像は見たことなくて、それを今回やりたかったんだよね(笑)。
飯伏 なるほど(笑)。(飯伏幸太が巨大化して怪獣と戦うバカ映画で監督と語る撮影秘話 - エンタメ - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]
人間と怪獣が戦う映画はあるんだけど、巨大化するのがプロレスラーじゃないから、巨大化してのプロレスが見たかった! そういえばウルトラマンガイア(1998年 - 99年)に橋本真也選手も出てたけど、プロレス技で闘うのは等身大の宇宙人。巨大化はできなかった。

しかし特撮モノでガチプロレス(当身しちゃう)のは、本職のスーツアクターさんならまずやらない。なにせ、スーツが壊れちゃう。低予算作品ならスペアもないので、かなりオオゴトになっちゃうからです。


実際、壊してしまったようですけどね。ウン。

河崎 身長40mで戦ってるわけだから。やっぱり誰もがデカくなりたいんですよ、男はバカで小2病だから。あと、敵の怪獣役の彼が大変だったよね。キックがホントに入ってたから。
飯伏 結構、途中きつそうでしたね。ハイキックや膝(ひざ)蹴りがヒットした感覚は忘れられないです。
河崎 ヤツもプロレスファンなんで、飯伏選手の技を受けて喜んでましたよ。(同上)
容赦なく蹴りもガチガチ入れてた飯伏選手。当然、スーツアクターさんも肉体的に倍の倍の倍、大変。



そんな時よかった、はやて選手主催のルチャサークル受講経験者である、スーツアクターの谷口さんがいてくれて。プロレスへのリスペクトある監督とスーツアクターだからこそできた、当て身特撮。大怪獣モノのやられっぷり、受けっぷりは、河崎監督、飯伏選手、谷口さんという三者の「先人たちが踏み込めなかった、僕のやりたい怪獣映画」観があふれ出して心地いいったらありゃしないのです。

前述した『フランケンシュタイン』2作品は、監督がゴジラを生み出した本多猪四郎監督。特撮監督がのちにウルトラマンを作る円谷英二。合作最終作ではないものの、このあたりを境に活動の場が分かれていくため、生身の巨大人間特撮の決定版こそ、史上最高の特撮映画! 追い求めるのも必然ですよね!

これ以外のプロレスオマージュを書き出せば、大社長の主役への言葉(役というより、役者本人へのメッセージ)、登場時のバックグラウンドミュージック、奇遇にも通りかかり実況する方、劇中曲「恋はエメラルド」の歌詞など、枚挙・ザ・リスペク!

「大怪獣モノ」は『「シン・ゴジラ」(東宝、庵野秀明総監督)への便乗』とのふれこみで制作公開された映画ですが、なかなかどうして一皮めくれば、特撮愛に加え、プロレス愛がつまりに詰まった映画でもありました。

この記事を書いたライター: 漁師JJ

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