2016/5/20 14:26

DNAの怪物・樋口和貞に見る伝統的な日本人パワーファイターの系譜【ぼくらのプロレスコラム】

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DNAの怪物・樋口和貞に見る伝統的な日本人パワーファイターの系譜【ぼくらのプロレスコラム】
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近年のプロレス界は試合レベルや各々の才能は別にして、ますますレスラーサイズが小粒化している。
普段、外に歩いていて一目で「プロレスラーだ」と思われないレスラーも多くなってきた。
170cm・80kg台のレスラーが本来100kg以上のヘビー級の王者となれるケースがあるのが今のプロレス界だ。
それは身長や体重の大小関係なく天下が取れる時代。
それはヘビー級やジュニアヘビー級という垣根がなくなりつつあるボーダーレスを象徴する現象。

だが、そもそもプロレスの大きな魅力の一つが体格に恵まれた男達が四角いジャングルで正面衝突するのが第醍醐味だ。
また身長176cm(公称は180cm)の力道山が体重や強靭な肉体(体重は116kg)でカバーして外国人レスラーに対抗し、日本中を熱狂させたのが日本のプロレス史だ。

例えば、1980年代の全日本プロレスにはスタン・ハンセン、ブルーザー・ブロディ、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ロード・ウォリアーズといった怪物達が右往左往と大暴れしていた中で、日本人サイドのトップとして活躍したのが196cm・127kgのジャンボ鶴田と189cm・120kgの天龍源一郎だった。鶴田と天龍は体格でもテクニックでも外国人と真っ向から対抗して見せた。

また1990年代の新日本プロレスにはビッグバン・ベイダー、クラッシャー・バンバン・ビガロ、スコット・ノートン、トニー・ホーム、グレート・コキーナという規格外の怪物達に対抗したの日本人レスラーが闘魂三銃士として一時代を築いた188cm・108kgの武藤敬司、188cm・108kgの蝶野正洋、183cm・135kgの橋本真也だった。

しかし、現在の日本プロレス界で唯一メジャー団体と言える新日本プロレスの課題と言えるのが体格に恵まれた有望な日本人パワーファイター不足だ。
棚橋弘至、内藤哲也、オカダ・カズチカと今の新日本トップレスラーはグッドシェイプな日本人テクニシャンが多い。
では新日本に参戦している外国人レスラーにパワーで対抗できる日本人はいるのだろうか。
恐らく真壁刀義、後藤洋央紀ぐらいしかいないのではないだろうか。
彼らの下の世代で後釜は育っていないのが現実だ。
その一方でインディー団体の大日本プロレスでは関本大介、岡林裕二、石川修司、火野裕士といったメジャー団体を凌駕する伝統的なパワーファイターが活躍しているのも現実だ。

実は日本のプロレスラー史とは力道山を筆頭に外国人に対抗できるパワーファイターの歴史でもあった。
力道山、豊登、ジャイアント馬場、坂口征二、ストロング小林、ラッシャー木村、マサ斎藤、ジャンボ鶴田、天龍源一郎、長州力、谷津嘉章、橋本真也、佐々木健介、小橋健太、田上明、中西学、高山善廣…。

テクシャンもいいが、圧倒的なパワーファイターが見たい。
そんな状況下で現れたのがDDTの若手育成プロジェクト「DNA」が生んだ怪物・樋口和貞だった、

185cm・113kgの堂々たる肉体を誇る元大相撲力士はデビューした2014年11月28日の北沢大会で樋口と同じくデビュー戦の梅田公太を、メインのタッグマッチでは先輩の勝俣瞬馬を破り、大物ぶりを見せつけた。
梅田と勝俣を破ったのは轟天と呼ばれる大技。
カナディアン・バックブリーカーの体勢からノド輪落としを見舞うという荒技だ。

その後、樋口は2015年5月には早くもHARASHIMAが保持するKO-D無差別級王座に挑戦し善戦するも、敗北。実はこれがデビューしてから初の敗北だった。
同年6月の「KING OF DDT」では先輩レスラーの松永智充と入江茂弘をベスト4に輝いた。
特に元KO-D王者の入江戦は圧巻だった。
パワーファイターの入江をパワーで真っ向勝負し、最後には轟天で完勝してみせた。
2016年2月28日はDNAの勝俣瞬馬、岩崎孝樹とのトリオでT2ひーからKO-D6人タッグ王座を奪取した。
また同年4月24日の後楽園ホール大会ではHARASHIMAが保持するKO-D無差別級王座に二度目の挑戦を果たし、王者を追い込むも敗れた。

大相撲の世界に飛び込んだのもプロレスラーになるための"修行"だったという樋口の特徴は何といっても自分の体格の生かし方と自己表現方法を新人でありながら知っていることである。
全速力で見舞うラリアット、オクラホマ・スタンピード、アイアンクロー、ノド輪落とし、カナディアン・バックブリーカー、アルゼンチン・バックブリーカー、相撲仕込みのぶちかましと多彩なパワー殺法が多い。
また足が長く太ももが太いため、185cmという身長以上に大きく見えるのも強みだ。

またDNAの育成方法が名レスラーのディック東郷を教えを継いだコーチのもとで、各選手に合わせた指導を心掛けたのが樋口の成長に拍車をかけた。

1988年生まれの樋口に、プロレスリング・ノアでメイン戦線で闘う同年生まれの中嶋勝彦はこう語っている。

「タメのライバルが一人増えた」

樋口の潜在能力は将来DNA、DDTを越え、日本プロレス界を揺るがす人材になる可能性を秘めている。
力道山から始まる日本人パワーファイターの系譜を継ぐのが実はメジャー団体のレスラーではなく、この樋口和貞だったりするのではないのかと私は考える。
DNAの怪物が真の意味で"大化け"する日は来るのか?

この記事を書いたライター: ジャスト日本

コメント

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  • でも関本岡林はマッスルだけど身長は170くらいしかないからね。

    モハメドヨネ選手は185センチ110キロの日本人では大きいほうだよ。
    まあでかいだけじゃあなー。(笑)
    そういえば怪物といえば森嶋さんがいたんだ。間違いなくヘビー級の。
    ノアは下り坂のころその怪物森嶋をフルボッコにして勝つKENTAがかっこよかったな。

    しかしヘビー級なら細くてもいいから180センチ以上は欲しいな。やっぱり。

    樋口選手ははやくDDTの一軍に上がれるといいね。

    ID:980471 [通報]
    (2016/5/20 19:16)
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  • 確かにパワーファイター良いですよね。関本や岡林のような「理屈抜きに凄い」選手もいますが、特にインディーは「凄いというか上手い」選手が多い印象です。その点、樋口は期待できる素材ですね。最近は思い切りの良い試合も増えていますし、DDTらしからぬ「凄み」も見え隠れしてきました。

    それにしてもこの人、なんで力士の時より体重増えてるんですかね…。

    ID:9644 [通報]
    (2016/5/21 0:05)
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  • インディーのパワファイターで何故に石川修司の名前が出てこない?

    ID:964223 [通報]
    (2016/5/21 2:15)
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  • パワーファイターでなくても以前は背の高い人が多かったですね。以前、武藤がW-1のベルトを無差別と発表した時、『今の日本にヘビー級と呼べるのは何人いるのか』的なことを話してたのを思い出しました。
    関本、岡林は背丈はないけど、補って余りあるくらいのパンプアップしてますからね…逆に背が低い人が自分より大きい人をバンバン投げたり担いだりするからインパクトが強くなるかな。
    はじめに書いてる人が挙げてるけどヨネ、森嶋は体格は恵まれてるけど内容が…ですね。あと森嶋は体格はいいけどパンプアップしてるってよりはブヨブヨした感じ。二人にもっと華があれば。その点、樋口はDDTグループにはない体格してるから大社長のプロデュースと本人の努力次第で今後は化けるかも。
    あと今後のヘビー級を担うかもしれないってことで大日本の宇藤も挙げておきたいです。今年は一騎当千にも出場するなど会社の期待も高く藤本つかさから『団体のトップを獲れる』と評価されてます。鈴木と組むことで勉強になることも多々あるだろうし秋山からもジャンピングニーパットを教えてやる的な発言もあったりと、あとは本人が自分のプロレスを確立できるか…個人的に楽しみな人材です。

    ID:5984 [通報]
    (2016/5/21 7:48)
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