2016/5/17 20:34

開眼したキックの天才~28歳キャリア12年の若きベテラン・中嶋勝彦がようやく歩む"トップランナーへの道"~【ぼくらのプロレスコラム】

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開眼したキックの天才~28歳キャリア12年の若きベテラン・中嶋勝彦がようやく歩む"トップランナーへの道"~【ぼくらのプロレスコラム】
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中嶋勝彦は格闘エリートとしてプロレス界入りした男だ。

小学三年生の時から撲名館という道場で空手を始め、中学生でありながら高校生の部の空手トーナメントにエントリーして優勝し、極真空手全日本大会の中学生部門で優勝するほどの輝かしい実績を誇っていた。

実は中嶋は撲名館の館長である武内氏の勧めもあり、前田日明率いるリングス入りが内定していたが、2002年2月にリングスが一時期活動停止したことにより、同年9月に長州力率いる新団体「WJプロレス」入りしたという紆余曲折の過去があった。

本来なら空手を継続していれば、空手界に名を残す男になっていたかもしれないが、母子家庭で育った中嶋にとっては中学を卒業して、プロ格闘技の世界に入ることで母を楽にさせてあげたいという想いがあった。

2003年3月に、「WJプロレス」は旗揚げ。同年9月にWJがプロデュースした総合格闘技「X-1」で勝利し、2004年1月5日の石井智宏戦でプロレスデビューした中嶋だったが、「WJプロレス」は同年3月に経営難で崩壊した。

2004年4月に元WJの佐々木健介に弟子入りして、健介office(ダイヤモンドリング)入りする。
当時の健介はWJ退団後、新日本や全日本を中心にあらゆる団体に引っ張りだこの人気フリーランサー。
あの堅物で一部では「しょっぱい」と称されていたほどの健介がマスクマンやペイントレスラーとなり、悪役になったり、コメディ路線、ルチャリブレまで幅広くこなす意外性を披露していた頃だ。

当時16歳の中嶋は健介が上がる団体に帯同していった。
2004年6月、中嶋はシングルマッチ初勝利を挙げる。相手は"東北の英雄"ザ・グレート・サスケ。
初勝利の相手も規格違いだった。
あらゆる団体にあがることで若いうちに経験値を積んだ中嶋は空手仕込みのキックを武器に大活躍。
2004年プロレス大賞新人賞、2005年プロレス大賞敢闘賞を獲得した。

2007年2月には全日本プロレスで近藤修司を破り、史上最年少の世界ジュニアヘビー級王者となった。
エリート街道を走る中嶋は2008年から健介と共にプロレスリング・ノアを主戦場に移す。
2009年2月にはKENTAを破り、GHCジュニアヘビー級王者となった。

中嶋は飯伏幸太、潮崎豪、オカダ・カズチカ(岡田かずちか)、鷹木信悟といった若きスターが勢ぞろいした当たり年だった「2004年デビュー組」の中で間違いなくトップランナーだった。

しかし、その後の中嶋はと言えばなかなか活躍が目立つことはない時期があった。
練習量豊富で、努力家で、謙虚な性格な中嶋だったが、ガムシャラに闘うだけでは打ち破れない"壁"にぶち当たったのかもしれない。
何しろ健介officeをベースとなって旗揚げされたダイヤモンドリングとは絶対的な佐々木健介の団体だ。
いくら世代交代を謳おうが、才能があったとしても、中嶋が健介を越えるというのは極めて難しい状況だった。ある種のピラミッド型ともいえるダイヤモンドリングでの日々が中嶋の行動を良くも悪くも立ち止まらせたのかもしれない。

2004年デビュー組のトップランナーだった"超新星"中嶋。しかし、オカダや飯伏はプロレス界のスーパースターとなっていく中で、その活躍はどうしても主戦場にしている団体の枠を越えることはなかった。
中嶋はいつも間にか元2004年デビュー組のトップランナーになっていた。

2013年にヘビー級に転向した中嶋は2014年2月にダイヤモンドリングの後楽園ホール大会で師匠・健介をシングルマッチで破った。この試合後に健介が引退を表明したため、中嶋は健介引退試合の相手となった。

佐々木健介最後の相手となった中嶋だったが、その後も一人だけダイヤモンドリングに籍を置きながら、ノアを主戦場にしていった。だが、やはりノアではゲストという扱いは変わらなかった。
中嶋にはキックという他と差別化を図れる強烈な武器があるが、それ以外に中嶋といえばという特徴として目立つものがなかった。
これが中嶋と他のトップレスラーとの差なのかもしれない。

「結果に繋がらない現状」

こんな状況を破るにはまずは所属選手になるしかない。
2015年7月末にフリーに転向し、2016年1月1日に中嶋はノアに移籍した。

実は前年の2015年の「グローバル・リーグ戦」で公式戦で優勝者の丸藤正道を破り、同年12月には元WWEスーパースターのシェルトン・X・ベンジャミンを破っていた中嶋はノア移籍の際のインタビューでこのように答えている。

「レスラーとしての成長を考えたことが(フリー転向の)きっかけでした。健介オフィスとして興行ができなかったり、試合ができない環境であったので、その中でどうしようかと考えていた時に、佐々木(健介)さんに"独立してみたらどうだ?"と言われ、その決断に至りました。もちろん、複雑ではありました。自分自身、健介オフィスで(現役生活を)終えると思っていたので。健介オフィスを辞める時が、僕のレスラー生活が終わる時だと思っていて、その覚悟の上で健介オフィスにいたので、自分の口から独立とか、辞めるというのは言えない言葉ではありました。それを察してくれたのか分かりませんが、佐々木さんから独立したらと声をかけて下さったので、そういう決断をしました。僕はいつも勝負は今だと思っているので。もちろん、体のメンテナンスをしっかりし、ケガなく元気でいれば40歳でも50歳でも試合ができるのですが、それが保障されているわけでもないので。もちろんその年齢まで頑張っている大先輩もいますけど、けがでリングに上がれない選手もいます。それを見ていると、自分もどこまでできるか分からないというのが正直あります。それが分からないから1試合1試合が勝負です。ノアに入ったからにはその中心に行きたいし、そういうレスラーになれると自分も信じています。そうやって自分を追い込みながら、レスラーの全盛期最後の勝負を緑のマットで戦っていきたいと思います。これからノア共々、よろしくお願いします!」
(スポーツナビ/中嶋勝彦、全盛期を緑のマットで!ノア入団は「悔いない戦いをするため」)

「悔いない闘いをするために」、「結果を出すために」、「全盛期最後の勝負」。
2016年の中嶋はあらゆるテーマを引っ提げて闘い始めた。
ようやく自ら動き、開眼した中嶋。
2004年デビュー組だけでなく、プロレス界のトップランナーになるために…。

決意を新たにすると闘いぶりも目を見張るものになった。
「ジーニアス・オブ・ザ・キック(キックの天才)」という異名を新たに与えられた中嶋はモハメドヨネと組んで、現GHCタッグ王者のランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJrへの挑戦が決まった中嶋は前哨戦でアーチャーとスミスJrを破って見せた。

また同年2月24日には"世界一性格の悪い男"鈴木みのるをシングルマッチで見事に破ってみせた。
中嶋と鈴木との絡みを見たノアの大原はじめはこう絶賛している。

「打撃の鋭さ、激しさがビシビシと心に突き刺さり、また、表情や感情がダイレクトにガンッて全身にぶちあたる感じだった。客観的に観て純粋に感動してしまった。プロレスの魅力、プロレスの凄さを再認識した」
(大原はじめオフィシャルブログ/鈴木みのると中嶋勝彦の闘いを新宿大会で観て)

同年3月19日の後楽園ホール大会では鈴木軍入りした杉浦貴が保持するGHCヘビー級王座に挑戦した。
悲願のGHC王座獲得とプロレス界のトップランナーを目指す中嶋は杉浦を追い込むも、鈴木軍の乱入と杉浦のイス攻撃で血まみれにされ敗退した。

28歳キャリア12年、超新星と呼ばれた若きベテラン・中嶋勝彦は今、岐路に立っている。
悔いのない闘いをするためにノアを選んだ男によるプロレス界のトップランナーへの道は険しい。
今の中嶋には結果もそうだが、周囲を引き付ける確固たるアイデンティティーの確立が必要なのではないだろうか。
中嶋といえばキックだけじゃないプラスアルファが必要になってきている。
そのプラスアルファが何になるのかは本人の模索次第になるし、もしかしたらそのプラスアルファが見つからないままに終わるかもしれない。
だがそのプラスアルファがなければプロレス界のトップランナーにはなれないのだ。
レスラー人生全盛期最後の勝負に挑む中嶋勝彦の明日はどっちだ!?

この記事を書いたライター: ジャスト日本

コメント

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  • 苦労人で努力も惜しまず真面目でいい試合するんですけどね…言われるように何か足りない。この前のあれだけ盛り上がったのにGHC獲れなかったのが痛い…獲ってれば何か変わったかもしれないけど…。今のノアが潮崎推しでなければ…。キャリアは十分やけど、まだ30前と若いから今年は厳しくても来年あたりブレイクしてほしいです。間違っても後藤ポジションに落ち着かないことを願います。

    ID:5984 [通報]
    (2016/5/18 8:38)
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  • 中嶋はなぁ・・・・・・・切磋琢磨できるライバルがいなかったのが不幸な点の一つだと思う

    ID:964223 [通報]
    (2016/5/18 15:17)
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  • なんちゅーか、立ち位置が健介に似てきたというか。ちょうど長州がいなくなったあとの健介がこんな感じだったような。
    個人的に一番噛み合う相手が丸藤だと思うので、ノア入りは良いんですけど、何か足りないのも事実。せっかくフリーになったんだから、大日本とかW-1とかあちこち団体回ってみても良いと思うのですが。

    ID:9644 [通報]
    (2016/5/19 0:30)
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  • 中嶋くん28なんですね。だったらオカダや真田と同じリングに立って欲しい。
    上で指摘してる方がいるが、同年代のライバルと同じリングに立てばいい刺激になると思う。
    両団体のファンの中には嫌がる人も多そうだけど、次世代のプロレス界を担うであろう彼らに明確なライバル関係が築かれることは業界にとってもプラスなのでは。

    ID:351839 [通報]
    (2016/5/19 20:00)
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  • 個人的にはノアはいずれ潮崎中嶋の二大エース路線に進んでほしい。
    いつまでも鈴木軍いるわけではないだろうし。

    ID:2652 [通報]
    (2016/5/25 4:40)
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