2016/5/6 8:14

ブレイクハートの決意~宮原健斗は全日本プロレスの棚橋弘至になれるのか!?~【ぼくらのプロレスコラム】

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ブレイクハートの決意~宮原健斗は全日本プロレスの棚橋弘至になれるのか!?~【ぼくらのプロレスコラム】
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2015年の全日本プロレスは離脱者が相次いだ。

経営不振、所属レスラーの契約体系の見直しによって曙、潮崎豪といった元三冠ヘビー級王者を含めたトップ選手がこのリングを去っていった。

そんな波乱の2015年の全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ戦」は最強タッグを優勝するためだけに結成されたタッグチーム諏訪魔&宮原健斗が優勝を果たした。
諏訪魔にはジョー・ドーリング、宮原には潮崎豪という正パートナーがいたが、ジョーがケガによる戦線離脱、潮崎は全日本を離脱によって、互いを利用するという利害が一致し、このコンビが生まれた。
諏訪魔は全日本を支える怪物エースで、宮原は全日本の次世代を担う若きスター。

試合後、宮原は諏訪魔にこう呼びかけた。

「来年から一緒に全日本プロレスを盛り上げていかないか」

しかし、諏訪魔は宮原に襲い掛かり、こう叫んだ。

「オレがおまえを利用させてもらった。いつまでも生意気なこと言ってるんじゃねえぞ。クソガキ」

諏訪魔率いるEVOLUTION勢はリングで暴れまわり、リングを去っていった。
その中で、取り残された宮原はカメラ目線でマイクでこう語った。

「この世界最強タッグリーグ戦のリングに最後まで立っていたのはこの宮原健斗ってことです!」

会場は一気に明るいムードに包まれた。
そして、若手のジェイク・リーと結託した宮原はこう締めくくった。

「来年からはオレら若い世代で全日本プロレスの新しい道を作っていきます」

宮原健斗というプロレスラーは個人的には若手時代からそつがなく器用にプロレスをこなす選手という印象が強かった。ただし、それは周囲から見ると"無個性"に見えたかもしれない。
そんな宮原にとって、2013年にダイヤモンドリング(健介オフィス)を離脱し、全日本プロレスに移籍したのは大きな賭けだった。
器用にこなせるが立場が中途半端に収まり、佐々木健介一派の若手という自分自身を変えるために選んだ新天地は、1972年に創立された王道プロレス・全日本プロレスだった。

全日本プロレスで生き残るために、一人のプロレスラーとして脱皮するためにある日、宮原は新日本プロレスのエース棚橋弘至と激似のコスチュームで現れた。 
その意図は何なのかわからなかったが、宮原自身が棚橋にシンパシーや憧れがあったのかもしれない。
そんな中であの最強タッグ優勝時でのマイクパフォーマンスはまさしく棚橋を彷彿させるものだった。
カメラ目線で語りかける行為、リング上で精いっぱい叫んで場を締めるスタイル、暗い状況でも一気に明るくする陽の部分…。これはまさしく棚橋が長年の研鑽の末にたどり着いたより多くの人々に届くアティチュードだった。

2016年2月12日、宮原はゼウスとの三冠ヘビー級王者決定戦に勝利し、史上最年少26歳11か月で三冠王座戴冠を成し遂げた。
試合後、宮原はこう語ったという。

「この三冠ベルトがこの時、このタイミングで俺のもとにあるのは宿命だと思ってます。俺はその宿命とも闘って、絶対勝って、もっとこのベルトが似合う男になります。俺には使命、宿命、責任感、覚悟…すべてが備わってますから」

宮原は苦境に立っている全日本プロレスを変えるため、自分が先頭に立つ決意を固めた。
そして、自分が世間に出ることで全日本をもっと知ってほしいと考えている。

「今、全日本って誰がいるんですか?とかよく言われて、オレはただただ悔しかった。これからは仲間と一緒に新しい全日本を見せていきたい。その先頭に立っていく。3冠王者として世の中にもっとアピールしてメディアに出るには、特技とか趣味とか、強みが必要になってくる。そのために何か、隙間でもいいから他のレスラーにない特徴を身につけたい。(新日本プロレスの)真壁(刀義)選手がスイーツで注目されているみたいに…今はまず“就活コンサルタント”(キャリアコンサルタント)の資格を取るための勉強をしている。練習の合間にいい息抜きにもなる」

プロレスラー兼就活コンサルタントになりたいという野望も、需要と世間に与えるインパクトは何なのかと考え抜いて選んだ道。
この生き方も棚橋に似ている。

棚橋といえば、一度は不渡りを起こすほど経営が瀕死状態の新日本プロレスを立て直した救世主的存在。
初めて興業の宣伝活動のために地方を回ったとき、彼は「今のプロレスが広まっていない」という事実にぶち当たる。この状況を変えるために、棚橋はまず自分自身に興味を持ってもらうことで「今のプロレス」を知ってもらうことは始め、プロモーション活動を継続していった。棚橋は3年に渡りたった一人で全国各地に出張してはプロモーション活動をいそしんだという。

「みんながプロレスを見ないなら、自分からみんなに会いに行ってプロレスを見てもらおう」

この地道な活動が実を結び、新日本プロレスは奇跡の復活劇を果たし、棚橋は新日本を変えた男と呼ばれるようになった。

「全日本プロレスの試合内容は素晴らしい。でもみんなは見てくれない。見ればわかるのに…」

そんな声が聞こえてくるのが近年の全日本プロレスだ。
あの2013年の団体分裂騒動以後の全日本は選手のフラストレーションがいい意味でリングで爆発し、試合内容はより評価されるようになった。
しかし、それが観客動員には結びついていない。
それが現実だ。

これを変えるには試合内容のクオリティーを堅持しつつ、やはり団体側や選手達からより多くの人々に「新生・全日本プロレス」を見に行くきっかけを与えることが必要ではないだろうか。

「"見れば分かる"という言葉で逃げるのではなく、"見てもらう努力"が今の全日本には必要だ」

全日本プロレスは幾度も選手離脱を乗り越えても団体崩壊をすることはなかった。
だが、今回は最大の危機だという声もある。
それでも何が起こるかわからないのがプロレスであり、世の中だ。

今はどん底でも数年経てば奇跡の復活劇を果たしている可能性だってあるのだ。
またその逆もしかりで、団体崩壊をするという最悪のシナリオだってある。

全日本プロレスは今が分岐点。
ある意味、今の全日本プロレスは不渡りを一度起こしていた時期の新日本プロレスといってもいい。
全日本プロレスは現在の新日本プロレスや棚橋弘至から見習う点は多いのだ。

もし全日本プロレスが復活し、経営が改善すれば、新日本に続く奇跡の復活劇ということになるだろう。
そして、その復活劇の中心に宮原健斗がいるとしたら、彼は"全日本プロレスを救った男"としてプロレス史に名を残すことになるだろう。

宮原健斗が全日本プロレスの棚橋弘至になれるのか!?
その答えを知るために、私は彼の生き方を見守りたいと思う。

この記事を書いたライター: ジャスト日本

コメント

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  • たしかに離脱者がたくさんいたけど、潮崎は全日本の生え抜きでもない選手だし、そんなに大きな痛手ではないと思う

    諏訪間が抜けたら痛いけど。

    しかも秋山のW1参戦とか、前向きな動きも出てきたし、明るい未来見えてきていると思う。

    ノアだよ問題は。鈴木軍にべったり過ぎてノア自体の底上げが全くされていない。

    ID:904431 [通報]
    (2016/5/6 13:24)
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  • 半年もたっていないのにがらりと風景が変わったというか、体質が変わったという印象を受けます。
    それがノアのようなカンフル剤投入でもなく、選手たちの底上げによって。

    ファンの反応を見ても良好な反応で、
    「宮原ならなんとかしてくれる」と不思議と思わせてくれる感じで、
    もう少しで宮原は棚橋の位地に上り詰めそうです。

    諏訪魔が復帰した後の扱いをどうか間違えないようにだけはしていただきたいところですね。

    ID:904603 [通報]
    (2016/5/6 14:49)
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  • 去年の大量離脱の時は本当にもうダメだ…と、思いました。今でも興行数が少なかったり人数不足から若手を無理に引き上げたり不安感が半端ないけど、大日本とうまく付き合ったりフリーの選手に積極的にオファーをかけたりといい変化がみれて、その中心には紛れもなく宮原がいる。試合も若さ、気迫が全面に出てるしマイクも頑張ってる。なんとかしたい…って気持ちが全面に出てて託したくなる。あとは全日本プロレスをどう広めるか…メディア戦略、大会のアピール…色々大きな山があるけど頑張ってほしい。
    W-1との交流も点となるか線となるかわからないけど、その中心には宮原がいてほしい。

    ID:5984 [通報]
    (2016/5/6 15:16)
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  • 少数派なのは重々承知ですが、どうしても全日本プロレスに白石氏の悪いイメージが拭えないです。
    週プロでも飛ばしてしまうクセがついてます。

    今は完全に全日本と白石氏は切れてるんですか?

    ID:59038 [通報]
    (2016/5/7 8:06)
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  • W-1、ドラディション、大日本との交流を積極的にして欲しい、新日本には無い新しいドラマを観てみたい。宮原選手、頑張って下さい!

    ID:72760 [通報]
    (2016/5/9 0:45)
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  • 棚橋みたいに華が無いんだよなぁ
    残念ながら。

    ID:46289 [通報]
    (2016/8/29 22:40)
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  • もし、秋山社長が頭を低くして新日本に頭を下げられるのなら、来年宮原を新日本のG1に出場させてもらいたい。
    プロレスファンとしては、宮原がどこまで成長したかそこで見てみたい。
    そこで評価を受ける活躍ができれば、もっと知名度も上がり、全日本にも観客が呼べることになるだろう。
    今は、それくらいの思い切った大改革をやってのけなければ、全日本の再浮上は難しいのではないか・・・!?
    かつてノア勢が大量離脱した時も新日本に助けてもらったように、昇り竜・新日本に再び乗りかかるのも一つの手であろう。
    今は、全日本のプライドがどうのこうの・・・と言っている場合ではないような気がする。

    ID:1471089 [通報]
    (2016/8/30 14:35)
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  • 宮原は良くなったね。
    あの暗い雰囲気がどうしても馴染めなくてこいつじゃ絶対無理と思っていましたが、ポジションを与えたら意外と様になってきました。
    こうなると川田が怨念の塊のようなプロレスを展開し名勝負製造機と化した三冠戦線を思い起こさせる闘いをしてほしい。
    諏訪魔VS宮原が鶴田VS三沢の様になれるかが全日存続の鍵ではないでしょうか。
    諏訪魔VS潮崎での失敗は潮崎が諏訪魔と対等だと勘違いしたのが原因であるのは明らかなので、その失敗を繰り返すことのないよう頑張れ。

    ID:1803972 [通報]
    (2016/9/11 18:23)
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  • 今のままだと厳しいかな。
    宮原も全日本も頑張ってるし良くなってるけど鶴田対三沢とかが挙がる時点で脱全日本プロレスが出来てないんだよね。
    棚橋が新日本を変えたのは完全に脱猪木・脱ストロングスタイルをやったから。
    悪いことじゃないんだけどやっぱり全日本の名前には伝統って響きがついてきちゃうんだよな。
    基本どの分野もそうだけど伝統を守るとどうしても規模は小さくなるから。
    これからも潰れることはなくても伝統があるかぎり『古い、わからない、つまらない』って先入観を払拭して新規ファンを獲得するのは困難だよね。
    宮原が本当に全日本を変えるとしたら諏訪魔とともにもう一度VM招致したり、ガチガチの総合格闘技みたいなファイトスタイルを取り入れたり新日本と真逆にいけばそこに活路が見えるかもね。
    伝統繋げるのはそれからでも遅くないかな。
    あと、元子さんは早めに切った方がいいよ。
    王道系列の衰退の影にはいつも社長婦人の存在があることを忘れない方がいい。

    ID:2569 [通報]
    (2016/9/14 23:24)
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  • 全日、ノア、w-1は元子さんのブレタ感覚が関係してる。
    全日は元子さんがらみで、三沢さんや多数選手が離脱してノア設立。全日衰退。
    その後の武藤全日本も元子さんが関係して大量離脱でw-1設立。また全日衰退。
    偉大な馬場さんの奥様だけど、全日をここまで衰退させた一番の原因は・・・

    皆さんの思ってる通り。

    ID:2174681 [通報]
    (2016/11/20 5:25)
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  • いつの日か、宮原と棚橋の対戦が実現するといいなと思ったり。

    ID:2319364 [通報]
    (2016/11/23 6:56)
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  • 棚橋を上回るプロレスラーは80数年後じゃないと出て来ないよ!
    何でかって?
    何でかって?
    100年に一人の逸材だからだ

    ID:2174681 [通報]
    (2016/11/24 0:50)
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  • 本人が意識してなくても周りが全日本の棚橋になれるかって言ってる段階で無理だと思う。
    棚橋が新日本の象徴になったのは棚橋弘至であり続けたからスタイルは武藤や藤波と同じだったところをハイフライフローを必殺技にすることで比べられるところからオリジナルになった。
    全日本やノアの問題は当時の新日本のように過去の選手に当てはめようとすること。
    それが無くならない限りどれだけ頑張っても無理だと思う。
    だからこそ馬場元子、和田京平はすぐに切るべき。
    過去に近づけようとする人達に復活は無理。

    ID:2569 [通報]
    (2016/11/30 15:17)
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