2016/4/13 21:08

日本のプロレスラーのアメリカンドリーム。 WWE NXTとは何か

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日本のプロレスラーのアメリカンドリーム。 WWE NXTとは何か
4.5
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元新日本プロレスの中邑真輔、プリンス・デヴィット、元プロレスリング・ノアのKENTAが所属している団体として、
日本のプロレスファンにも馴染み深い存在になりつつあるWWE NXT。

本国アメリカでは既に『WWE RAW』、『WWE SmackDown』と並ぶ第3のブランドとして認知されているが、
『RAW』、『SmackDown』との大きな違いは、あくまで『NXT』がWWE内での下部組織であり、選手育成用のファーム団体にあたるということ。
まずはこのファーム団体というシステムに触れてみたい。

【WWEとファーム団体】
日本のプロレス団体では若手選手に経験を積ませるための興行を大きな大会や通常のツアーとは別枠で組むようになっているが、
あくまで同じ団体での毛色の違う興行であり、通常のシリーズと同日に開催されることは無いと言っていい。

だが、WWEは一部のインディー団体と提携しており、提携先のインディー団体が素質のある選手を一定の水準まで育てた後、
メインロースターとしての契約を結んで『RAW』や『SmackDown』に送り込む手法をとってきた。
ここが新人選手を一から育て上げてデビューさせる日本のプロレス団体とは大きく異なる。

現在はライバル団体であるTNAと提携しているOVWからはブロック・レスナー、ランディー・オートン、
CMパンク等がデビューし、DSWからはザ・ミズ、ザック・ライダーが輩出されているし、
その後、DSWとの提携が解消されるとFCWというファーム団体を設立。シェイマスやヨシタツがデビューする等、
ファーム団体との提携は成功を収めていた。

また、WWEでは会社が選手に対して演じるキャラクターを用意し、
ギミック通りの言動、試合運びが求められるが、全てのギミックが成功するわけではない。
そんな時は一度『RAW』、『SmackDown』の画面から姿を消し、再度新たに与えられたギミックをファーム団体で調整する。
実際に観客の前でギミックを披露して調整できるという利点も担っていた。
この点からも、常に新たなスターを求めるWWEにとってファーム団体は無くてはならないものとなった。


【リアリティショーとしてのNXT】
WWEは2006年にかつて買収した伝説のハードコア団体、『ECW』を自社ブランドのテレビ番組として復活させたが、
買収前との試合内容のギャップにより人気が低迷。
番組の終盤にはファーム団体から一軍である『RAW』、『SmackDown』への登竜門としての役割を果たしており、
一定の視聴率も保っていたが、WWEは2010年に『ECW』の終了を決定。
放送枠の穴を埋める形で新人育成番組『NXT』がスタートする。
新人育成番組としての『NXT』は所謂リアリティーショーであり『RAW』、『SmackDown』の所属選手が新人選手を指導し、
優勝者がWWEと契約できるというコンセプトであった。

リアリティーショーとしての『NXT』はダニエル・ブライアンの知名度を飛躍的に向上させたし、
有能な新人選手を輩出したが、シーズン5の途中で生徒役の選手が『SmackDown』でデビューするなど、
ドタバタぶりを発揮してしまう。
シーズン6以降は、ファーム団体の1つであったFCWと統合されたこともあり、
番組開始当初のコンセプトが撤廃され、テレビ放送の存在するファーム団体となった。


【初代シン・カラの失敗。ファーム団体としてのもう一つの意義】
2011年、WWEのクリエイティブ部門の最高責任者にトリプルHが就任する。
WWEはWCWとの企業戦争以降、若手選手以外を他団体から引き抜くことを避け、
自前のファーム団体で育てた選手を中心としてきた。
だが、トリプルHが現在のポジションについて最初に行ったことは、初代ミスティコの引き抜きであった。
初代ミスティコはメキシコの老舗団体CMLLのトップスターだったこともあり、一軍選手として契約。
新たなキャラクター、シン・カラとしてのデビュー戦もテレビで放送された。
しかし、結果的に初代ミスティコのWWE進出は失敗に終わった。
失敗の理由としては、初代ミスティコがWWEのシステムに合わせようとしなかったこと、
英語を学ぶ姿勢が無かったことが挙げられている。

このことからWWEは他団体でトップスターとはいえ、契約後は『NXT』を経て一軍デビューさせるシステムを構築。
AJスタイルズのような一部例外を除き、『NXT』はWWEの一軍にデビューする選手達が学び屋として通う役割を得た。


【トリプルHの王国。進化するNXT】
トリプルHは日本の有力な選手にも目をつけており、プリンス・デヴィット、KENTAをそれぞれ
フィン・ベイラー、ヒデオ・イタミとして相次いでデビューさせた。
これまでのWWEはスーパースター達を『選手』ではなく『出演者』として認識しており、
いくらキャラクターや長所が優れていても、似ているキャラクター、得意分野の選手が既に所属している場合は、
その選手がいくら優秀でも契約出来なかった。
これは『RAW』、『SmackDown』では現在も徹底されている。
しかし『NXT』では選手の能力を重視して契約している傾向があり、試合内容の素晴らしさは3ブランドの中でトップクラスだ。
ストーリーを重視する『RAW』、『SmackDown』と試合内容を重視する『NXT』。
この違いはブランドを仕切っている人間が非プロレスラーか、プロレスラーかの違いが現れているように思える。

『NXT』は素晴らしい選手達の力で『RAW』や『SmackDown』との差別化に成功し、
エンターテイメントショーではない“プロレスリング”を求めていたファンの支持を得た。
そんな流れの中、『NXT』をファーム団体としてではなく、WWE内の第3ブランドとして成長させようという、
トリプルHの思惑も見え隠れするようになった。

WWEは世界一巨大なレスリングカンパニーであり、エンターテイメントとしての完成度も非常に高い。
『NXT』はそこに、世界一の試合内容を提供できるという要素を加える可能性を秘めている。

この記事を書いたライター: シンタロー

コメント

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  • なるほど。
    経緯や位置付けが分かりやすく書いてあり、理解できました!

    ID:66804 [通報]
    (2016/4/14 6:14)
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  • 今のところ「ROHや新日がやってるプロレスをWWEに持ってきただけ」なんですよね。とはいえECWの失敗を考えるとよくここまで持ってきたなと。ここからなにか新しいプロレスが生まれるのか、HHHに期待します!

    ID:9644 [通報]
    (2016/4/14 8:08)
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