2016/3/12 18:13

【あの頃】左足首のテーピング。真壁刀義に惚れた日

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【あの頃】左足首のテーピング。真壁刀義に惚れた日
4.9
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真壁刀義の左足首に施されたテーピング。
今現在、真壁刀義が怪我しているという情報は無い。
このテーピングは10年以上前に負った怪我をカバーするためのものだと思われる。

2002年、島流し同然に送り出されたプエルトリコ遠征から帰国した真壁刀義。
海外遠征出発前から期待の新人だった鈴木健想(現KENSO)に割を食う形で冷遇されていたように見えた状況は、凱旋帰国後も変わらなかった。

それでも現状打破を試みる真壁刀義に少しずつ目を引かれていった。

そして2005年。
2回目の出場となったG1 CLIMAXの予選リーグで中邑真輔と対峙する。
中邑真輔はこの時点でIWGPヘビー級のベルトを史上最年少で巻いた経験があり、東京ドームのメインも張っていた。
何もかも真壁刀義より先に成し遂げていた男を前にして、燃えないわけがなかった。

試合中、気合いの入った串刺し式ラリアットを決めた真壁刀義が中邑真輔にもたれる形で体勢を崩し、倒れ込んだ。
左足のアキレス腱断裂だった。

この時、真壁刀義は叫び声を上げた。
だが、それは痛みに耐えきれずに漏らした悲鳴ではなかった。

「F○ck!」

はっきりと聞こえた。それはこれ以上試合を続けられないことを悟った故の悔しさから発せられた叫び。

それまで筆者は真壁刀義に対して「頑張っているけど報われないプロレスラー」という印象しか持っていなかった。
ルックスが飛び抜けて良いわけでもない、身長がとても大きいわけでも、動きが速いわけでもない。

それでも真壁刀義はプロレスが好きだったのだと。その事実を心に刻まれて以来、筆者の中で真壁刀義は魅力的なプロレスラーになった。

復帰して以降、金村キンタローに「真壁は呼んでへんよ」と恥をかかされたこともあった。
越中詩郎とタッグを組み、半年間に渡って矢野通、石井智宏と血みどろの戦いを繰り広げても評価されない時期もあった。

だが、G・B・Hの結成、そしてリーダーだった天山広吉を追放したことで流れが変わった。
WEWヘビー級のベルトを巻いてインディー団体の外敵となったことも大きかった。
2008年には優勝こそ後藤洋央紀に奪われているが準優勝。同年の火祭りでも準優勝と、
真壁刀義を取り巻く環境は変化していったように見える。
しかし、全ては真壁刀義自身が環境を変化させていったという方が正しいと思う。

ブレイクした当初はトレードマークの鎖を使った試合が多く、
現在も続くパンチ、キック、ラリアットだけで試合の序盤から中盤までを作れるスタイルの基盤となった。
そして当時の決め台詞があった。

「これが現実だ!」

自身に勝てない先輩、同期、後輩、他団体のレスラー。
そのレスラーのファンまでこの言葉に打ちのめされたと思う。
ヤンキー漫画では使い古された言い回しかもしれないが、真壁刀義が発すると説得力があった。
真壁刀義のプロレスラーとしての道程は、夢や希望だけを追いかけてきたのではない。
どうにもならない現実に直面し、真正面からぶつかり続けて力づくで開いた道。
筆者には「これが現実だ。さぁどうする」と問いかけているようにも見えた。
相手に「NEXT」を与えるのは年間を通して戦い続けるプロレスラーの特権。

かつて「不器用」と言われ続けた男に、言葉という武器が加わった。
そして2009年。G1 CLIMAX優勝と同時にこの武器は最高の輝きを見せてくれた。

相棒だった矢野通を始め、本間朋晃以外のG・B・Hメンバーは新ヒールユニットCHAOSに移籍しており、
真壁刀義の勢いもここまでかと思われていたが、それは真壁刀義というプロレスラーの真の魅力を引き出す材料となった。

ヒールでもベビーフェイスでもなくなった男に贈られる歓声に照れながら言った、
「サンキューな」という一言に感謝の気持ちが全て込められていた。

真壁刀義の言葉には、蝶野正洋や高山善廣のような切れ味は無い。
鈴木みのるのような毒も、棚橋弘至のようなポップな色気も無い。
だが、この四人が言葉に乗せられない人情があった。

現在は本間朋晃の良き兄貴分として活躍していることもあり、シングルのベルトからは遠ざかっているが、
再び真壁刀義が大きな会場でメインを張る日が必ず来るはずだ。
これまで幾度と無く現実という壁を打ち破ってきたのだから。

この記事を書いたライター: シンタロー

コメント

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  • IWGP巻く姿をもう一度見たいんだよなあ

    ID:4511 [通報]
    (2016/3/13 4:44)
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  • 本当に数少ない ザ プロレスラーってイメージの真壁。説得力があるコメント出来るのは蝶野か真壁じゃないでしょうか。
    あの吉田豪ですらインタビューより、うなづいていただけのイベントもありましたから。

    ID:670738 [通報]
    (2016/3/13 13:59)
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  • G1獲った時は涙腺決壊しそうになりました。ほんとボロボロの状態で…それまでの不遇もあったから余計に。その後のタイトル獲ったりとリングでの活躍もですが、メディアへの露出がプロレス界でトップ。今、プロレスを知らない人へ『プロレスってのがあるんだよ』って広めてくれてる功労者。忙しい中でコンディション整え試合もこなす…本当、凄いと思います。
    大変だと思うけど頑張ってほしいです。

    ID:5984 [通報]
    (2016/3/13 22:43)
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