2016/3/4 12:01
コブラツイストは痛くない!?
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「コブラツイストは、実は痛くありません」
先日放送された、某バラエティ番組でのことである。「引退した今だから言える!アスリートぶっちゃけランキング」というコーナーに、昨年引退した元プロレスラー、天龍源一郎が出演していたのだが、その「ぶっちゃけ」の内容が、耳を疑わずにはいられないようなものだった。
まず、アントニオ猪木がコブラツイストをかけている写真に合わせ、以下の字幕が流される。
「アントニオ猪木をはじめ数々のプロレスラーたちが得意技としているコブラツイストは…」
カメラはスタジオに切り替わり、アップになった天龍源一郎が、まさかの発言をする。
「実はあまり痛くありません!」
目が点になった。天龍さん、それはいけない。
その後、大胸筋の大きな外国人には効いて、体の柔らかい日本人には効かない、など少々のフォローをしていたが、それにしても、この発言は頂けない。笑えない。
アメリカのプロレス団体WWF(現在のWWE)を主な題材とした「ビヨンド・ザ・マット」というドキュメンタリー映画があった。この映画の中では、試合には脚本があることが明かされており、そのことに衝撃を受けたプロレスファンは少なくなかった。ミッキー・ロークの名演が記憶に新しい、映画「レスラー」でも、試合前に対戦相手と試合の段取りを打ち合わせているシーンが見られる。
ただ、これらの映画では、脚本がある、事前の打ち合わせがある、という事実が、プロレスから説得力を奪っている訳ではない。脚本があるからと言って、リングの上で受ける技が痛くない訳ではないし、レスラーという仕事が過酷ではない訳ではない 。むしろ、どちらの映画も、プロレスとはこんなに痛く、過酷なものなのか、日々こんなことをやっているプロレスラーとは、やはり常人とはかけ離れた存在に他ならない、という印象を強烈に残させるものであった。
人はなぜ、プロレスに胸を打たれるのか。人はなぜ、プロレスラーに勇気を与えられるのか。それはきっと、その「痛み」が本物だからなのだろう。そう思わされた。
放送を見返した。「実はあまり痛くありません」と言う天龍源一郎の表情は(あくまで筆者の主観だが)少し気まずそうに見えた。少なくとも、受けを狙っている人間の表情ではなかった。プロレスファンなら、みな知っている。天龍源一郎は頭のいい人間である。その発言が、過去のレスラー、現役のレスラー、そして未来のレスラーへのリスペクトを欠いたものであることが、わからない男ではないはずだ。バラエティ番組とはそういうものだと、仕方なく乗っかった部分もあるのだろう。
だが、バラエティ番組だからこそ、配慮して欲しかった。天龍源一郎がこれまで対戦してきた数々の選手の中には、痛くないコブラツイストを使うような選手もいたのかも知れないが(実際、外国人選手などでいそうである)、プロレスを知らない人、詳しくない人がこの番組を見れば、コブラツイストという技自体が痛くない、と思い込んでしまう。そして「プロレスの技はどれも痛くない」と考えてしまうことも、十分にあり得る。それは、プロレスにとっていいことである筈はない。
現在発売中の雑誌「KAMINOGE vol.51」で、ビル・ロビンソン最後の弟子こと、鈴木秀樹選手が、この天龍源一郎の発言に異を唱えていた。技術的な面からコブラツイストという技のなんたるかを解説し、「単に技術を知らないだけなんじゃないのか」「現役選手として文句を言いたい」と言い放つ鈴木選手に、激しくプロレスラーを感じ、嬉しくなった。
筆者もプロレス者の端くれである。鈴木選手のように、異を唱えなければいけない。そう思い、今回こうして筆を執った(正しくは、キーボードを叩いた)次第である。
天龍さん、あなたが無事にリングの上での務めを終え、バラエティ番組などで活躍しているのは本当に嬉しいことですし、芸能界でやっていくためには、受け入れなければいけないことも色々あるのでしょう。ですが、この件に関しては、仕事を選んで欲しかったと言わざるを得ません。
あなたは「ミスター・プロレス」と呼ばれた男で、世間はあなたをプロレスラーの代表として見ています。こんなことは、もうこれっきりにしましょう。これからも、これまで以上に、あなたのファンでいさせて下さい。
コメント
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コブラツイストはほとんどの男子が少年期にプロレスごっこで経験するから、あんまり痛くないことなんて公然の秘密みたいなもんでしょ
(2016/3/4 12:25)
小さな頃、父にかけられたコブラツイストは普通に痛かったです
(2016/3/4 13:23)
ガッチリかけるとかなり痛いというか抜け出せないんですよね。子供の頃それで友だちを何人泣かしたことか(笑)
(2016/3/4 13:39)
かけ方次第でしょう。絞り上げられるようにされたら…あと、ある程度柔軟はあっても筋肉のある体を曲げられるんは…かなり痛いでしょ。
(2016/3/4 14:04)
プロレスラーにしたら、耐えられる?耐えやすい?技なんでしょうけど、一般的には普通に痛いかと
(2016/3/4 17:33)
拷問コブラなんかめちゃ痛そうだけどね〜
(2016/3/4 17:36)
柔術のエディ・ブラボーもツイスターとして使いますし「極めようと思えば極まる技」ですよね。天龍の食らってたのは鶴田のコブラでしょうから、ドリー直伝のアメリカンスタイルだとあまり「痛くしない」んでしょうね。
にしても「痛み」を体現してきたミスタープロレスのこの発言、茶目っ気と見るべきかどうなのか…。
(2016/3/4 21:43)
柔軟な選手には拷問コブラみたいに折り畳んでしまわないと効かないのかも。
(2016/3/4 23:54)
普通に痛いと思います
まぁタフな天龍だからこそのコメントだったのかも
それはそれですけど最近コブラツイストが絵になる選手がいないですよね
(2016/3/5 23:48)
やっぱ猪木さんのコブラはキレイですよね♪
技で言えば昔スピニングトーホールドは痛いのかな?と思ったけど、やっぱ痛いんだろうね
(2016/3/6 3:25)
俺は昔の女にコブラツイストかけられた。かなり痛くて息が出来なかったよ。
抜けれなくて半泣きになった。だからコブラツイストは痛い。
是非長身のオカダカズチカにフィニッシュとして使ってほしい。ちなみに僕はジャンボが菊地選手にかけるコブラツイスト。いじめだと思いました。
(2016/3/6 22:30)
えっ、鈴木秀樹選手は、コブラツイストは痛いものだと言ってましたよ。
(2016/11/25 6:38)
コブラツイストを確実に掛ければ痛いですよ。
プロレスの技というのは、それを本気で掛けたら
洒落では済まない物が多いのです。
四の字固めを100%の力で掛けたらどうなるか?
垂直落下式の技をフォローなしにガチに脳天から落としたら?
逆十字やヒールホールドを関節を壊す力で極めたら?
バックドロップの落とす角度や体重の乗せ方を見極めなかったら?
プロレスとはある種のショースポーツです。
相手を壊して、再起不能にして、最悪命を奪うことが目的ではありません。
鍛えた者同士が、お互いの信頼し合い、プロレスの常識内で
死力を尽くして戦いを提供しているのです。
(2016/12/12 14:45)
コブラツイストで検索するとここが出てくる。
単純に気分が悪いのでこの記事ごと消してほしい
(2016/12/14 3:22)
馬場の十六文キックは?
(2017/6/18 15:55)
コブラツイストは昔友人とやったことがあります。
そのまま写真のようにしているだけならそれほど痛くはありませんが、
さらに相手の体を手前に引いていくとあばらのあたりが無茶苦茶痛いですよ。
本当にあばら折り状態になりますのでこうなると確実にギブアップになります。
痛くないという人は試してみると分かります。
(2018/1/31 9:54)
痛く見せるのがプロレスだし
痛がる表情もプロレスだ
(2018/6/26 1:39)
ちなみに
卍固めも痛くない。
重いだけw
(2018/11/20 1:06)