2015/10/3 10:11

【プロレス漫画レビュー】 プロレススーパースター列伝

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【プロレス漫画レビュー】 プロレススーパースター列伝
5.0
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 幼いころの僕がプロレスに興味を持つようになったきっかけのひとつが、プロレス界のスーパースターたちの半生を描いた漫画“プロレススーパースター列伝”だ。原作者はあの大物、梶原一騎。この作品はノンフィクションをうたって描かれてはいるものの、かなりの脚色があったことでも知られている。真贋入り混じった数々の逸話の中で、僕が特に気に入っているのがザ・ファンクス編だ。

 このザ・ファンクス編は『父の執念』というサブタイトルのとおり、二人の父親であるドリー・ファンク・シニアを軸に描かれている。鉄人ルー・テーズを破ってチャンピオンベルトを巻くことを夢見ていた若き日のドリー・ファンク・シニアは、テーズに挑む機会を得るも大敗を喫し、己の限界を知ってヒールに転向。観客から罵声を浴びせられながら必死でファイトマネーを稼ぎ、二人の息子に己の果たせなかった夢を託す――というのが話の骨子。子供に夢を託すことが親のエゴであることは理解しつつも、息子たちを世界チャンピオンにしようと厳しく鍛えるシニア。ドリーとテリーはそんな父の思いを受け入れ、期待に応えようとする。ファンクス編は全編にわたって親子の愛がしっかりと描かれており、この漫画のはじまりを飾るに相応しい出来栄えだ。

 この漫画を語る上でかならず挙がる漫画的脚色に関しては、このファンクス編でも各所に盛り込まれている。ドリー・ファンク・シニアが暴れ牛相手にスピニング・トーホールドをかけてみせるシーンなどだ。

 世間ではこのような描写を面白おかしくあげつらったり、「ウソを描くな」と批判する声も存在する。たしかに名レスラーの半生を描いた伝記として読むのであれば、漫画的脚色は不要だろう。伝記として“正確”な表現ではないからだ。しかし僕が思うに、この脚色された伝記こそが梶原一騎の出した“正解”の表現なのだ。

 脚色や誤った描写が混ざっていることはいったん忘れ、そのまま全て受け入れて読むことをオススメしたい。ドラマティックな脚色の数々が、一流のレスラーたちをさらに一段上のステージへ押し上げてくれる。梶原一騎は彼らをただの一流レスラーではなく、“スーパースター”として描いているのだ。

 そんなスーパースターたちに対する幻想の入り混じった憧れを、この漫画は当時の空気そのままに伝えてくれる。いつまでも色褪せない不朽の名作だ。

この記事を書いたライター: アサ薫

コメント

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  • 新日本プロレス以外の選手を題材に、こういう実録風漫画が雑誌に連載されたら、間違いなく団体の人気上昇に繋がるよね。
    ちなみに、新日の選手を題材にした漫画(ギャグ漫画)は、既にあるみたい。

    ID:29377 [通報]
    (2015/10/3 22:42)
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  • スタンハンセン編が好きでした!

    ID:129 [通報]
    (2015/10/4 11:16)
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