2015/9/4 17:16

続・外国人選手とG1 CLIMAX - アラサーからのプロレス再入門(6)

閲覧数:2177

続・外国人選手とG1 CLIMAX - アラサーからのプロレス再入門(6)
5.0

 さて今年のG1で突如巻き起こったエルガン旋風。このエルガンが残した名勝負の中で、個人的にひときわ心に残った試合がある。それがBブロックもう一人の外国人選手、“ザ・マシンガン”カール・アンダーソンとの試合だ。解説の矢野通の言葉を借りると「どっちもヒゲでハゲ」な一戦である。

 このカール・アンダーソン、初めて試合を見る前に少し危惧していた事がある。このヒゲ・ハゲ・黒パンツという見た目からゴールドバーグやストーンコールド・スティーブ・オースチンを連想してしまうのだ。これらを期待してしまうと、大抵のものは地味に見えてしまう。いい選手なのにそれでつまらなく見えてしまったのではもったいない。

 だが幸いにも、蓋を開けてみるともともと地味な選手であった。こちらはエルガンとは違い、タッグマッチに混ざると溶けこんで目立たない。こうも地味な外国人選手がいるのかと感心するレベルだ。

 しかしこのG1 CLIMAXの戦いが進むにつれて、彼の試合が妙に印象に残ることに気づいた。当初は耳に残る掛け声のせいかとも思ったが、もちろんそれだけのわけはない。派手さにこそ欠けるものの、毎試合いい勝負を見せるのだ。

 一体なぜかと不思議に思っていたところに、前述のマイケル・エルガン戦である。この試合、序盤はエルガンがパワーファイトで圧倒する展開になるものの、カール・アンダーソンがエプロン越しのガンスタンで試合の流れを変える。その後は互いに相手の引き出しを開きあうかのような一進一退の攻防が続き、最後はエルガンのパワーボムをガンスタンで切り返して決着した。直前までエルガンコールの響いていた観客席も思わずワッと沸いてしまうほどの見事な切り返しであった。
 
 僕はこの試合を見てようやくカール・アンダーソンが“上手い”プロレスラーであることを知った。出すべきタイミングで出すべき技を繰り出し、試合の流れを作ってゆく選手なのだ。そこに代名詞のガンスタン一つとっても複数のバリエーションを使い分けるような引き出しの豊富さが加わり、地味ながらも飽きさせない見事な勝負を生み出されていたのだろう。

 このG1が始まる前にはヒゲとハゲじゃ見分けがつかないなんて言っていた僕だが、最終的にはこの二人の選手が大好きになってしまった。

 今回このG1 CLIMAXを観ていく中で、ひとつ気づいたことがある。プロレスは見続けていくことが肝心だ、ということだ。続けて見ていくと選手のキャラクターがつかめてくる。キャラクターがわかってくると、自然と過去の試合とも比較して見るようになる。そうすると更なる魅力が見えてくるのだ。例えばエルガンで言えば、パワーキャラでありながらも対戦相手ごとに柔軟に攻め方を変えるような、小器用な一面にも自然と気がつくようになる。

 こうして一つ一つの試合を“点”として見るのではなく、今までの試合から繋がった“線”として見るようになったとき、プロレスはその本当の面白さを垣間見せてくれる。その場限りのショーではなくなる。今日個人的にはこれこそがプロレスファンとしての第一歩だと思う。

 今の僕は再入門したてということもあり、今はようやく線がつながりはじめた程度にすぎない。やがて一人前のプロレスファンになるころには、これらの線がいくつも絡み合い、より複雑で広大な世界が見えてくるのだろう。もっとたくさんの試合を見て、プロレスファンであると胸を張って言える日が来るのが待ち遠しいものだ。

この記事を書いたライター: アサ薫

コメント

    まだコメントはありません。

おすすめ記事

新しいコメントを投稿する

 [PCから画像ファイルをアップロード]

関連付けられたタグ

 カール・アンダーソン  新日本  G1 CLIMAX  ハゲ  ヒゲ
[タグを付ける]

<< 一覧に戻る

プロレスが好きな人はフォロー!
「ぼくらのプロレス」ならではの情報をお届けします。